会社から「出張手当」が支給されました。他にも毎月「住宅手当」が支給されていますが、課税対象でしょうか?

配信日: 2025.06.11

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会社から「出張手当」が支給されました。他にも毎月「住宅手当」が支給されていますが、課税対象でしょうか?
会社から「出張手当」や「住宅手当」が支給されるのはありがたいことですが、「これって税金がかかるの?」と疑問に思ったことはありませんか?
 
手当の種類によっては、非課税になる場合もありますが、多くは課税対象になることも。本記事では、出張手当と住宅手当の課税・非課税の違いや判断のポイントをわかりやすく解説します。
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出張手当は「原則非課税」、ただし例外もある

出張手当とは、宿泊を伴う出張や日帰り出張などの業務に際して、通常の交通費・宿泊費とは別に支給される手当のことです。たとえば「日当」や「食事代の補助」として支給される場合も含まれます。この出張手当は、次の条件を満たしていれば、所得税法上「非課税」とされます。


・業務に必要と認められる範囲内の金額である
・支給額や支給対象が社内規定により明確に定められている

たとえば、「課長職は1日3000円、部長職は5000円」など、役職や地域ごとに合理的な基準が決められているケースは、非課税として扱われます。
 
ただし、過剰な金額を支給した場合や、実際には出張していないのに手当だけを支給していた場合は、課税対象となる可能性があります。実態と合わない支給は、税務調査で指摘を受ける原因になります。
 

住宅手当は「原則課税」、ただし例外もある

一方で「住宅手当」は、原則として課税対象です。これは、住宅手当が給与の一部とみなされ、他の基本給などと同じく所得税や住民税の対象になるからです。たとえば、毎月2万円の住宅手当がある場合、その2万円は給与所得としてカウントされ、課税対象に含まれます。
 
しかし、例外的に非課税となるのが「社宅制度」を利用した場合です。企業が従業員に住宅を貸与し、その家賃の一部を会社が負担する形であれば、一定の条件のもと非課税とすることが可能です。この場合、次のような条件が必要です。
 
・社宅の使用料が、税務上定められた家賃相当額の50%以上を従業員が負担している(全額会社負担ではない)
 
つまり、現金で支給される「住宅手当」は課税対象、会社が用意した物件に住み会社と契約を結ぶ「社宅」は条件を満たせば非課税になる、という区別が必要です。
 

社内規定や実態が課税か非課税かを分けるカギ

課税・非課税の判断において重要なのは「社内規定の整備」と「実態に即した運用」です。どれほど「手当」として名目があっても、それが業務上の必要性に基づかない場合や、金額の設定に妥当性がない場合には、課税対象として扱われるリスクがあります。
 
たとえば、出張に出ていない人にも手当が支給されていたり、住宅手当が役員だけに極端に高額で支給されていたりすると、税務署に「給与の一部」と判断され、追加課税されるおそれもあります。
 
税務署は、書類よりも「実態」を重視します。就業規則や給与規程に明文化されて、業務実態と一致していることが、非課税であることを説明しやすくなります。
 

まとめ:課税対象かどうかは条件次第、確認が大切

出張手当は、業務に必要な出張費用を補う目的で支給されるもので、原則として非課税です。ただし、支給の根拠や金額設定が曖昧だと、課税対象と判断されるおそれもあるため注意が必要です。
 
住宅手当は、現金での支給は原則として課税対象ですが、社宅制度を活用していれば条件次第で非課税になることもあります。いずれの手当も、「支給されている=非課税」ではありません。手当の性質や社内規定の内容、実際の運用実態が課税・非課税の判断に直結します。
 
少しでも不安がある場合は、社内の人事・経理部門に確認するか、税理士に相談することをおすすめします。毎月の手当を正しく理解することで、将来的な税務リスクを減らすことにもつながります。
 

出典

国税庁 法第9条《非課税所得》関係 〔旅費(第4号関係)〕
e-Gov法令検索 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)
国税庁 No.2508 給与所得となるもの
国税庁 No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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