会社から受け取った引っ越し手当「20万円」は所得税の課税対象になる?

配信日: 2025.06.09

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会社から受け取った引っ越し手当「20万円」は所得税の課税対象になる?
引っ越しの際に会社から支給されることのある「引っ越し手当」。この手当が所得税の課税対象になるのか、気になる方もいるのではないでしょうか。
 
この記事では、引っ越し手当が非課税となる条件と、課税対象になるケースについて分かりやすく解説します。税金の取り扱いが気になる方は、ぜひ参考にしてください。
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会社からの「引っ越し手当」は、一般的に非課税となる

始めに、「所得税」は原則として個人が得たすべての所得に課税されるものです。
 
しかし、社会的な配慮や政策的な理由から、課税の対象とならない所得もあります。これを「非課税所得」といいます。
 
会社から支給される「引っ越し手当」は一般的に所得税の課税対象にはなりません。ただし、非課税になるには、いくつかの条件があります。
 
ここでは、非課税になる条件などについて解説します。
 

「引っ越し手当」が非課税の対象となる条件

国税庁によれば、会社が従業員を転勤させる際に支給する「交通費」や「移転料」などの引っ越し関連費用は、原則として所得税はかかりません。
 
非課税になる条件として、給与を受け取る人が就職や転勤にともなって引っ越す場合、「ほかの契約金と明確に区別されていること」かつ「所得税法第9条第1項第4号に定める非課税の金品に該当すると認められること」を満たしていれば、契約金には含まれないとされ非課税となります。
 
なお、所得税がかからない「所得税法第9条第1項第4号に定める非課税の金品」の一例には、以下のものがあります。

・出張や転勤のための交通費
 
・出張や転勤の際の宿泊費
 
・転勤にともなう引っ越し費用(移転料)

ただし、非課税になるかどうかは「適正な金額であるか」で判断されます。国税庁によれば、以下のポイントが判断基準になるといえるでしょう。

・役員や社員全体に対して、バランスの取れた基準で支給されているか
 
・同じ業種、同じ規模の会社が一般的に支払っている金額と比べて相当と認められるかどうか

非課税になる上限額は明確になっていないため、社内の基準や他社との比較がベースとなるようです。
 

課税の対象になる可能性があるケース

会社などが、出張や転勤などにかかる費用として手当を支給してくれる場合、「通常必要とされる範囲」の金額まで原則として非課税となります。一方、それを超える金額は課税対象となる可能性があります。
 
例えば、「会社の仕事で出張に行った」「転勤で引っ越した」などの目的で受け取った手当の金額が、通常必要とされる金額を超えてしまった場合は、給与所得に含まれるため給料として課税されます。
 
また、「着後滞在費」(転勤先での一時的な宿泊費など)は、実質的に別居手当や住宅手当と同じ性質とみなされるため、給与等として課税対象となります。
 

引っ越し費用の目安

それでは、会社から引っ越し手当として20万円を支給された場合は「通常必要とされる範囲」になるのでしょうか。
 
繁忙期(2月~4月)に引っ越しをする際の費用相場は、単身で平均約5万円~8万円、4人家族で約16万円~17万円であるといわれています。
 
ただし、引っ越し先までの距離や時期によっても変動するため、あくまで目安であることを把握しておきましょう。
 
なお、非課税となる明確な上限額は定められていませんが、仮に家族4人で20万円程度であれば、一般的な引っ越し費用の範囲内と考えられるでしょう。
 

会社からの「引っ越し手当」は一般的に非課税となるが、そのためにはいくつかの条件がある

会社から支給される引っ越し手当は、一般的に非課税となります。非課税の対象になるのは、交通費や宿泊費、転勤にともなう引っ越し費用などです。
 
ただし、「社員全体に対してバランスが取れた基準であるか」「ほかの会社が支払っている金額と比べて高すぎないか」などの判断基準が設けられており、それを超えた場合は所得税の課税対象になる可能性があります。
 
非課税とされる金額には、法律上の明確な上限は設けられていませんが、仮に家族4人で20万円程度であれば、一般的な引っ越し費用として妥当な範囲と考えられます。もし不安な点がある場合は、会社の総務部や経理部、あるいは最寄りの税務署に相談して確認すると安心です。
 

出典

国税庁 単身赴任者等に支給するいわゆる着後滞在費
国税庁 法令解釈通達 〔契約金(第7号関係)〕 (契約金の範囲)
国税庁 法令解釈通達 法第9条《非課税所得》関係 〔旅費(第4号関係)〕
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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