家庭菜園の野菜をフリマアプリで販売。これって「所得」になるの?
配信日: 2025.04.18


執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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原則として、販売して得た収入は“雑所得”に該当
家庭菜園の野菜を自家消費する場合や、おすそ分けとして知人にプレゼントする場合はもちろん課税とはなりませんが、販売してお金を得た場合は「営利を目的とした活動」とみなされ、税務上は課税対象となります。
年間の売上金額が少額であっても、経費を差し引いた「所得」が出れば、雑所得として申告の対象になる可能性があります。
確定申告が必要になるケース
確定申告が必要になる場合について、具体的に確認しましょう。
給与所得者(会社員)の場合は、給与所得以外の雑所得が年間20万円超の場合は申告が必要です。
専業主婦(夫)の場合、雑所得が基礎控除の年間48万円を超過すれば所得税の課税対象です。また年間48万円以下であっても、住民税の基礎控除である43万円を超える場合には住民税がかかりますので、市区町村の税務課での申告が必要になります。
なお、課税対象は「売り上げ」ではなく「利益(所得)」が基準となります。したがって、種・苗代、肥料・用土・道具代や発送にかかった送料や梱包材費およびフリマアプリの販売手数料などの必要経費は差し引くことができます。
最初、少し売り上げが立つと、うれしくなって「もっとがんばろう」と本腰を入れて張り切ってしまいがちで、記録をつけることすら忘れてしまいがちです。そのようなときこそ、冷静になって「課税される可能性」について振り返ることが必要です。
申告しないとどうなる?
少額でも、継続的に販売を行っていると、税務署から「事業性あり」と判断されることがあります。
「事業性あり」なのかどうかは、例えば「毎月コンスタントに販売している」「SNSなどで集客している」「仕入れや梱包に手間とコストをかけている」などの実態によって判断されます。
営利活動=事業とみなされた場合、「雑所得」ではなく「事業所得」として扱われ、青色申告や複式簿記の義務が発生したり、税務署からの指摘や調査の対象となったりすることもあります。
また、事業所得となると、赤字が出た場合に給与所得などと損益通算できる一方で、帳簿作成や記帳義務なども求められることになります。申告漏れがあると、延滞税や加算税の対象となる可能性があります。
まとめ
家庭菜園で育てた野菜をフリマアプリで売ると、雑所得として課税対象になることがあります。まず、経費を差し引いた所得が一定額を超える場合は、確定申告が必要であることを覚えておきましょう。
所得を把握するためにも、経費をしっかり記録しておくことが大切です。軽い気持ちで「副収入を」「家計の足しに!」とはじめたつもりが、思わぬ税金の対象にならないようにルールを理解しておけば、安心してフリマ活動を楽しむことができるでしょう。
出典
国税庁 No.1500 雑所得
国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人
国税庁 No.1190 配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除が受けられるか
台東区 住民税のあらまし3 控除の種類
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者