「2025年6月支給分の年金は上がる」と聞きました。親の「年金」は「実際いくら増える」のでしょうか?
配信日: 2025.06.12

2025年6月に支給される年金は、2024年6月と比べて増額される予定です。しかし、実際にどのくらい増えるのか、また計算の仕組みはどうなっているのか、よく分からない人が多いかもしれません。
この記事では、年金支給額の改定の仕組みや、2024年と2025年の受給額の違いを分かりやすく解説します。親世代がもらえる年金がいくら増えるのかをはじめ、家計への影響をイメージしやすいように具体的な例を交えて紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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現在の年金制度
日本の年金制度は、「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金保険」の2種類です。自営業やフリーランスなどは国民年金のみに加入し、70歳未満の会社員や公務員は国民年金に加えて厚生年金保険にも加入しています。
2024年6月時点で満65歳の親がもらっている年金は、すでに支給が始まった「老齢年金」です。
現在の国民年金の満額(満20歳から60歳の40年間)は月額6万9308円(年額83万1696円)、厚生年金は現役時代の収入によって変わります。この記事では日本年金機構がモデルケースとして提示している賞与を含む標準報酬月額45万5000円を40年間継続した会社員で見ていきます。
年金支給額の改定について
年金支給額は毎年、物価の上昇率や賃金の動きに合わせて金額が改定されています。この変化の割合が「改定率」です。
毎年5月に、年金額の変更に関するお知らせ「年金額改定通知書」が各年金受給者に送付されます。2025(令和7)年の改定では4月分(2025年6月支給)から、年金額は前年より原則1.9%引き上げられることが発表されています。
この改定率は、高齢者の生活が取り残されないようにするための仕組みです。ただし、将来の年金財政を守るために「マクロ経済スライド」という調整も入っており、この仕組みによって物価上昇率が大きかった1年でしたが、実際の引き上げ率は1.9%に抑えられています。
2024年6月支給分と2025年6月支給分を比較
具体的な支給額を、2024年6月と2025年6月のケースで比較してみましょう。
例1:国民年金のみ受給のケース(満額)
2024年6月の支給額:6万8000円
2025年6月の支給額:6万9308円
例2:厚生年金(賞与を含む標準報酬月額45.5万円を40年間継続)を含むケース(月額)
2024年6月の支給額:22万8372円
2025年6月の支給額:23万2784円
ともに約1.9%の増額となっており、1年間で計算すると、国民年金のみ受給の場合は1万5696円、厚生年金を含む場合なら5万2944円の増加となります。
また上記とは別に、年間所得が一定基準額以下の年金受給者を対象として年金生活者支援給付金が支給されています。2025(令和7)年度は満額5450円となり、前年度と比べて2.7%の増額です。
年金支給額はいくら増えたのか
では、この増額分は家計にどのくらい影響があるのでしょうか。
例えば、親が1人で国民年金のみを受給している場合、月額1308円の増額です。1日あたりに換算すると、約44円の増加となります。決して大きな金額ではありませんが、年間で考えると1万5000円以上増えるため、多少の余裕ができるでしょう。
一方、この記事で取り上げた厚生年金を含めるケースでは月額約4412円、年間では5万2944円の増額です。
ただし、これらはあくまで平均的な例です。親世代の年金額は加入期間や納付状況で変わるため、詳しくは日本年金機構の「ねんきんネット」で確認することをおすすめします。
親の年金の支給額が増え、生活に余裕が生まれることはうれしいことですが、年金支給額は毎年変更されることに注意が必要です。毎年5月に送付される年金額改定通知書を確認し、生活設計に役立てていきましょう。
出典
日本年金機構 令和7年度の年金額および年金生活者支援給付金支給金額の改定について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー