大学時代に「学生納付特例制度」を使っていたので保険料を払っていませんでした。1年分追納すると、「将来の年金額」はいくら増えますか?
配信日: 2025.06.11

そこで本記事では学生納付特例制度や、年金を満額受け取るための保険料の追納制度についても紹介します。

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目次
在学中は「学生納付特例制度」によって保険料の納付が猶予される
在学中かつ、前年度の所得が一定以下である場合「学生納付特例制度」を利用することで、保険料の納付が猶予されます。世帯の所得に関しては特に制限が設けられていないため、所得の少ない学生は誰でも申請することが可能です。相談はインターネット、もしくは年金事務所・役場の窓口などでもできます。
しかし、あくまでも納付の「免除」ではなく「猶予」である点に注意しましょう。国民年金を満額で受け取るためには、20歳から60歳までの40年間(480月)保険料の納付が必要になります。この間に未納期間があると受給金額が減額されるため、満額での受け取りはできません。
10年以内であれば猶予された保険料の「追納」が可能
学生納付特例制度を利用した上で満額の受け取りを希望している場合、後述の追納制度を利用して猶予された分の年金を納める必要があります。
猶予された期間から10年以内であれば、保険料を追納することが可能です。学生納付特例制度の他にも、経済的困窮や被災などの理由で猶予・免除された保険料も追納することができます。
申請・相談は学生納付特例制度と同じく、インターネットもしくは年金事務所・役場窓口などで行うことが可能です。納付方法は以下の通りです。
●金融機関
●郵便局
●コンビニエンスストア(30万円以下)
●Pay-easy(電子納付サービス)
●スマートフォンアプリ(PayPay、auPAYなど)
追納しないと将来の年金額に影響が!学生納付特例を追納するメリット
追納した場合、将来的に受け取ることができる年金の金額を増やすことができます。前述の通り、年金の受給金額は保険料の納付期間・総額に影響を受けるためです。
2025年の国民年金保険料は、1ヶ月あたり1万7510円となっています。保険料は毎年変化するため、追納の際はその年に合わせた金額を支払わなければなりません。表1は、学生納付特例を利用して保険料の全額を猶予した場合の年度別追納金額(1ヶ月分)です。
表1
年度 | 金額 |
---|---|
2015年 | 1万5930円 |
2016年 | 1万6600円 |
2017年 | 1万6820円 |
2018年 | 1万6650円 |
2019年 | 1万6710円 |
2020年 | 1万6820円 |
2021年 | 1万6860円 |
2022年 | 1万6740円 |
2023年 | 1万6520円 |
2024年 | 1万6980円 |
※日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」を基に筆者作成
日本年金機構によると、学生納付特例によって猶予された保険料を1年分追納することにより、老後の年金が年間約2万円増えるとされています。
また、追納した金額については、社会保険料控除の対象です。通常、所得税は収入の中でも特に「所得」の額に基づいて納税すべき金額が決まります。しかし、控除された分は所得に当てはまらず、その分税額が減るため、結果として節税を行うことが可能です。
まとめ
20歳を超えたら毎月納付しなければいけない保険料ですが、学生の間は学生納付特例制度によって納付義務が猶予されます。しかし、猶予された分を支払わないままでいると、将来的に年金を満額で受け取ることができません。
猶予された期間については、10年以内であれば追納することが可能です。1年分を追納すると、老後に受け取れる年金が年間およそ2万円増えるとされています。
将来の年金額に不安がある方は、今のうちに追納制度を活用するかどうか、シミュレーションしてみてはいかがでしょうか。
出典
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度 2025年4月
日本年金機構 国民年金保険料 2025年4月 1.国民年金保険料の金額
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー