国民年金を「未納」のまま60歳になってしまいました。今から追納はできますか?

配信日: 2025.06.03

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国民年金を「未納」のまま60歳になってしまいました。今から追納はできますか?
60歳を迎えると、これからの老後資金について本格的に考え始める方が多くなります。しかし、失業や経済的事情などにより納付できなかった期間があり、「国民年金の未納期間があることに最近気づいた」という方もいるでしょう。では、60歳を過ぎた今からでも、未納分を納めることはできるのでしょうか?
 
本記事では、追納が可能なケース、追納の方法、そして追納によって将来受け取れる年金額にどのような影響があるのかについて解説します。
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国民年金の未納期間があるとどうなる?

国民年金は、原則として20歳から60歳までの40年間、保険料を納めることで65歳から老齢基礎年金を受け取れる制度です。納付期間が満額の480ヶ月であれば、年金は月額6万9308円(令和7年度)支給されます。
 
しかし、未納期間があるとその分年金額が減額されます。例えば、1年分(12ヶ月)未納だった場合、その期間に相当する分だけ年金が減額され、生涯にわたって受給できる金額に差が出ます。未納が3年、5年と続けば、その影響はさらに大きくなります。
 
さらに注意したいのは、年金の受給資格そのものに関わる点です。10年以上(120ヶ月)保険料を納めていなければ、そもそも老齢基礎年金を受け取る権利が得られません。したがって、未納期間がある場合はそのまま放置せず、早めに状況を確認することが重要です。
 

60歳からでも追納はできる?

60歳を過ぎていても、一定の条件を満たしていれば追納は可能です。ただし、すべての未納期間が対象になるわけではありません。追納できるのは、主に以下の2つのケースです。
 
1つ目は、「学生納付特例」「納付猶予」「免除制度」など、正当な理由により保険料の納付が猶予または免除されていた期間です。これらの制度を利用していた場合、承認された月の10年以内であれば、60歳を過ぎていても追納が可能です。
 
2つ目は、申請などをしておらず単に保険料を納めなかった「未納期間」です。この場合、時効により2年以内であれば後から納付できますが、それを過ぎると原則として追納できません。
 
つまり、「追納できるのは最大で過去10年分。ただし、制度の利用が前提であり、単なる未納は2年まで」ということになります。
 

追納の方法と年金への影響

年金保険料の追納は、年金受給額を増やす唯一ともいえる手段です。1年分の保険料(当時の額)を追納することで、将来的な年金が年間で約2万円増えるとされています。生涯にわたって受け取ると考えると、追納の効果は決して小さくありません。
 
追納の手続きは、次の手順で行います。

1. 最寄りの年金事務所、または日本年金機構の公式サイトから「追納申込書」を入手します。
2. 本人確認書類を用意し、必要事項を記入したうえで書類を提出します。
3. 承認されると納付書が送られてきますので、金融機関やコンビニで支払いを行います。

追納の順番は古い期間からとなり、3年以上経過した分については保険料に加算額が上乗せされます。この加算金は延滞金のような性質で、年によって異なるため、正確な金額は年金事務所で確認しましょう。
 
また、追納は65歳まで可能ですが、過ぎるとできなくなるため、なるべく早めに手続きを進めることが大切です。
 

任意加入制度で60歳以降も保険料を納められる

追納制度とは別に、60歳以降に未納期間を補うもうひとつの方法が「任意加入制度」です。これは60歳以降も自ら希望して保険料を納める仕組みで、主に以下の人が対象です。

●日本国内に住所がある
 ※外国籍の方で、「医療目的の滞在」や「観光・保養を目的とした長期滞在」などの特定活動の在留資格を持つ人(およびその付添人や同行配偶者)は対象外
●60歳以上65歳未満である
●老齢基礎年金の繰上げ受給をしていない
●20歳以上60歳未満まで保険料を納めた月数が480月(40年)未満の方
●厚生年金、共済組合などに加入していない

この制度は、保険料納付済み月数が480月(40年)に満たない場合に、足りない分を補う目的で活用されます。65歳までの最大5年間、年金の未納期間を埋めることができ、将来の年金額アップにつながります。
 
また、65歳以上70歳未満であっても、老齢基礎年金の受給資格期間(10年)を満たしていない方は、70歳まで任意加入が認められる場合があります。この場合、受給資格期間を満たすためのみの加入となります。
 
任意加入を行うには、年金事務所での手続きが必要です。必要書類や金額の確認なども含めて、早めの相談をおすすめします。
 

60歳を過ぎても間に合う可能性はある。早めに確認をしよう

60歳を過ぎてから国民年金の未納に気づいた場合でも、決してあきらめる必要はありません。追納制度や任意加入制度を活用することで、将来の年金額を増やすことが可能です。
 
まずは、自分の納付記録を「ねんきんネット」などで確認し、未納期間がどのくらいあるのか、免除対象だったのかを整理しましょう。そして、必要であれば早めに年金事務所に相談し、追納や任意加入の手続きを進めてください。
 
老後の生活に不安を残さないためにも、今できることから始めることが大切です。制度を上手に活用して、安心できる将来を手に入れましょう。
 

出典

日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
日本年金機構 任意加入制度
大田区 高齢任意加入制度(60歳以上の方向けの任意加入制度)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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