来年60歳になります。「60歳以降は国民年金保険料を払わなくていい」と聞きましたが本当ですか?
配信日: 2025.05.17

任意加入制度を利用することで、将来の年金受給額を増やすことも可能です。本記事では、60歳以降の国民年金の取り扱いについて解説します。

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目次
国民年金の保険料は原則「60歳未満」までが義務
国民年金制度では、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入対象となり、保険料を納めることが法律で定められています(国民年金法第7条)。これは「義務加入」と呼ばれ、定年退職しても60歳までは納付の対象です。
60歳に達した翌月以降は、保険料の納付義務はありません。つまり「60歳以降は、原則として国民年金保険料を支払わなくてよい」という情報は正しいです。
60歳以降でも年金に未納期間がある人は「任意加入」できる
年金を受け取るには、受給資格として保険料納付済み期間などが10年以上必要です。さらに、満額の老齢基礎年金(2025年度:月額6万9308円)を受け取るには、保険料を40年間(480ヶ月)納める必要があります。
この加入期間が不足している人のために、60歳以降も年金に加入できる「任意加入制度」が用意されています。
任意加入できる条件は?
日本年金機構によると、以下の条件をすべて満たすと、国民年金の任意加入が可能です。
・日本国内に住所がある60歳以上65歳未満の方(海外在住の日本人は20歳以上65歳未満まで加入可能)
・20歳以上60歳未満までの保険料納付月数が480月(40年)未満であること
・厚生年金保険や共済組合等に加入していないこと
・老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていないこと
また、65歳時点で老齢基礎年金の受給資格期間(10年)を満たしていない場合は、70歳未満まで任意加入できます。
任意加入の期間は、原則として60歳から65歳未満まで(最大5年間)ですが、加入期間や受給資格に応じて異なります。納付は月単位で、申し出月から自分の意思で始められます。
任意加入のメリットと注意点
任意加入のメリットと注意点は以下のとおりです。
・将来の年金額を増やせる
任意加入の最大のメリットは、老後に受け取れる年金額を増やせる点です。たとえば、60歳時点で納付済み期間が35年しかなければ、任意加入で最大5年間追加すれば、満額に近づけることが可能です。
たとえば2025年度の老齢基礎年金は、40年(480ヶ月)納付で年額83万1696円(月額6万9308円)です。仮に35年分(420ヶ月)しか納めていない場合、年額は約72万7237円と約10万円の差が生まれます。
・保険料の自己負担が続く
任意加入の保険料は全額自己負担です。2024年度の国民年金保険料は月額1万7510円。年間で約21万円の支出となるため、経済的な余裕やライフプランをよく考えたうえで判断する必要があります。
60歳からは「支払わない」か「自ら加入するか」を選べる
60歳になれば、国民年金の保険料を支払う義務はなくなります。これは正しい情報です。しかし、年金の受給額を増やしたい人や、受給資格がまだない人にとっては、「任意加入」という選択肢が重要になります。
今後の年金額は、自分の納付状況に応じて変わります。60歳のタイミングは、老後の生活設計を見直す良い機会です。不安や疑問がある場合は、年金事務所に相談し、自分に合った選択をすることが、将来の安心につながります。
出典
日本年金機構 任意加入制度
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
日本年金機構 国民年金保険料
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー