75歳になったのに窓口負担額が「3割負担」のままです。周囲は1割負担なのですが私が稼ぎ過ぎなのでしょうか?

配信日: 2025.06.09

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75歳になったのに窓口負担額が「3割負担」のままです。周囲は1割負担なのですが私が稼ぎ過ぎなのでしょうか?
日本は国民皆保険制度を採用しており、国民全員に公的医療保険が保障されています。健康保険を使うことで、実際にかかる医療費よりもはるかに安い費用で医療サービスが受けられます。
 
医療費の負担額は一律ではありません。年齢や健康状態によって、その負担率が変動します。一般的に、75歳以上は「後期高齢者医療制度」によって自己負担率が1割まで下がります。
 
しかし今回のケースのように、自己負担率が3割になってしまうケースも珍しくないようです。本記事では、後期高齢者医療制度の概要に触れ、どのようなケースで負担率が上がってしまうのかを解説します。
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「後期高齢者医療制度」の概要

「後期高齢者医療制度」は、公的医療保険制度における仕組みの一つです。75歳以上の一般人、もしくは65歳から74歳で一定の障害状態にあると認定を受けた人が加入します。
 
一般的に、75歳になるまでは国民健康保険や健康保険(健康保険組合、全国健康保険協会(協会けんぽ)、船員保険)、共済組合などに加入しますが、75歳になると強制的に後期高齢者医療制度へ加入します。
 

後期高齢者医療制度の加入者負担率は1割?

6歳以上(義務教育就学後)から69歳までの人が、クリニックや診療所で治療を受けた場合、自己負担率は原則3割です(自治体による援助は除く)。6歳未満(義務教育就学前)の子どもと70~74歳までの人は、原則2割に軽減されます。
 
75歳以上になって後期高齢者医療制度に加入すると、負担率はさらに下がって原則1割となります。
 
日本の公的医療保険制度は、このように年齢によって段階的に負担率が引き下げられる仕組みです。
 

75歳以上でも負担率が3割⁉

しかし特定の状況下では、負担率が原則通りにはいかなくなります。後期高齢者医療制度に加入していても「現役並みの所得があるケース」では、負担率が3割になってしまいます。
 
今回のケースでは75歳以上なのに負担率が3割のままですので、「現役並みの所得がある人」とみなされているようです。
 
また「一定以上の所得があるケース」では、負担率が2割です。負担率の変動について表1でまとめました。
 
表1

医療費の負担率
原則 1割
一定以上の所得者 2割
現役並み所得者 3割

※筆者作成
 
ちなみに、70歳~74歳の人の負担率は原則2割と説明しましたが、こちらも現役並みの所得がある場合は3割負担となります。
 

「一定以上の所得」と「現役並みの所得」はどれくらい?

ここからは、負担率に影響する「一定以上の所得」と「現役並みの所得」について見ていきましょう。それぞれ、以下の条件を満たした場合に負担率が上がります。
 

一定以上の所得(2割負担になるケース)

・同世帯の被保険者の中に、課税所得28万円以上(年収は単身約200万円以上、複数約320万円以上)の人がいる

 

現役並みの所得(3割負担になるケース)

・同世帯の被保険者の中に、課税所得145万円以上(年収は単身約383万円以上、複数約520万円以上)の人がいる場合

 

高齢者はどれくらい稼いでいる?

国税庁の「民間給与実態統計調査(令和5年分)」によると、70歳以上の給与所得者の平均給与は、全体で293万円でした(男性は「368万円」、女性は「197万円」)。
 
この額は「現役並みの所得(課税所得145万円以上:年収約383万円以上※単身の場合。複数は約520万円)」には達していません。
 
一方、今回の相談者は負担率3割が適用されていることから、現役並みの所得基準に達しているようです。そのため、こちらの相談者は同年代の一般的な給与所得者よりも多く稼いでいると思われます。
 
ただし、負担率は世帯収入で判断される点に注意が必要です。同世帯にいる別の人の収入が高ければ、世帯全員が3割負担になる場合があります。
 

所得状況によっては75歳以上でも3割負担となる

後期高齢者医療制度に加入する75歳以上の人の負担率は原則1割です。しかし一定の所得があれば2割、現役並みの所得があれば3割と、自己負担率は上がります。
 
自分自身と、同世帯にいるほかの後期高齢者医療制度加入者の所得状況から負担率を確認できます。よく分からない場合は、自治体の窓口に相談してもいいでしょう。
 

出典

国税庁長官官房企画課 令和5年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-(20ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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