定年後の生活費は「月28万円」必要!? 4月から年金額が“約2%”アップしたけど、「年金+貯金」で生活できる? 何歳まで暮らせるかシミュレーション

配信日: 2025.05.28

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定年後の生活費は「月28万円」必要!? 4月から年金額が“約2%”アップしたけど、「年金+貯金」で生活できる? 何歳まで暮らせるかシミュレーション
2025年度から、年金額が約2%引き上げられました。老後生活の安心材料にはなり得ますが、年金だけでは足りないと言われている定年後の生活費とのギャップが埋まるかどうかは気になるところです。本記事では、年金額や支出の実態、老後の資金計画をシミュレーションで分かりやすく解説します。
古澤綾

FP2級

年金は実際いくらもらえる? 2025年度は約2%増

厚生労働省の発表によると、2025年度の年金額が前年度比で約1.9%引き上げられました。モデル世帯(会社員の夫が40年間就労・妻が専業主婦と想定)の受給額は、月額で約22万~23万円とされていますが、今回の改定により月に約4000円増える計算です。
 
一方、国民年金のみを受給する単身世帯では受給額が月6万~7万円にとどまることもあり、増加額も1000円程です。このように、受給額には世帯構成や納付状況による大きな差が存在します。年金が増額されたとは言え、物価の上昇や実際の生活費をふまえると、十分とは言いがたいケースもあるのが現実のようです。
 

定年後の生活費はどれくらい? 平均「月28万円」の内訳

総務省の「2024年家計調査報告」によると、65歳以上の夫婦のみ・無職世帯の支出は、消費支出が約25万6000円、非消費支出(税金・社会保険料)が約3万円で、合計はおよそ28万7000円です。実質的に月28万円近くが毎月生活費として必要、という結果が出ています。
 
支出の内訳には、食費や光熱費、交通費のほか、医療費や交際費などの出費も含まれます。これは一般的な生活を前提とした数字で、ぜいたくな支出や一時的な支出は含まれていません。
 
また、調査結果には持ち家の人の住居費も含まれるため、住居費が低めになっており、家賃や住宅ローンの支払いがある場合には、より生活費がかかることになります。突発的な医療費や家の修繕費を加味すると、年金だけでは不足する家庭が多いと考えられます。
 

年金+貯金で何歳まで暮らせる? 老後資金をシミュレーション

例えば、年金で月23万円の収入がある世帯が、生活費28万円を支出する場合、毎月5万円が不足します。もし貯金があった場合、何歳まで生活が維持できるのでしょうか。図表1のシミュレーションで見ていきましょう。ただし、税金、投資収益、物価上昇などは考慮していない単純な計算結果です。
 
図表1

図表1

筆者作成
 
支出に対する年金の不足額を補うためには、それなりの蓄えが必要であることが分かります。年齢とともに支出が減る可能性もありますが、医療や介護にかかる費用はむしろ増える傾向にあります。また、物価上昇により年金の実質価値が下がる可能性もあるため、余裕を持った準備が重要です。
 

老後不安を減らすために今できる準備とは?

年金と貯金だけで老後資金をまかなうのが不安な場合は、今からできる次のような対策を取り入れておくと安心です。
 

支出を見直す

保険や通信費、サブスクリプションなど、見直せる固定費がないか点検をしてみましょう。月2万円の削減ができれば、年間24万円の節約につながります。
 

年金以外の収入源をつくる

年金だけに頼るのではなく、企業年金、iDeCo、NISAなどを活用し、老後に備えた資産形成をするのが良いでしょう。また、退職後も無理のない範囲で働くことが選択肢になる場合もあります。
 

生活防衛資金を準備する

急な医療費や家屋などの修繕費に備え、少なくとも2年分の生活費(約670万円)は現金で用意しておくと安心です。老後は、何歳まで生きるか分からないという不確実性に向き合う期間でもあります。支出を抑える工夫、安定収入の確保、備えの3本柱を整えることで、将来への安心感が高まるでしょう。
 

まとめ

年金の受給額が増えても、老後資金への不安が完全に消えるわけではありません。しかし、早めに準備しておくことで、安心感を得られる可能性が高くなります。早めに現状を整理し、自分らしい備え方を考えておけると良いですね。
 

出典

厚生労働省 令和7年度の年金額改定についてお知らせします
総務省 家計調査報告(家計収支編)2024年(令和6年)の平均結果の概要
 
執筆者:古澤綾
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