昨年、住宅ローン「4000万円」を借り入れ! 今年4月から基準金利が「0.25%→0.50%」へ上がったけど、今のところ私の返済額は増えていません。金利引き上げの“対象外”なのでしょうか?
配信日: 2025.05.24

金利上昇によって毎月のローン返済額が増えることを心配している人も多いかもしれませんが、実際は基準金利が上がったからといって、毎月の返済額が必ずしもすぐに上がるわけではありません。
しかし、返済額が上がらないことを喜んでいると、将来の返済計画に支障が出る可能性があり注意が必要です。本記事では、変動金利型住宅ローンの基準金利が上昇したときに、返済額が変わらない理由とそのリスクについて解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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変動金利型住宅ローンの基準金利はなぜ上がった?
変動金利型住宅ローンの基準金利が上がった背景には、日本銀行が2025年1月に政策金利を0.25%から0.50%へ引き上げたことがあります。これを受けて、各銀行が短期プライムレートを見直しました。
変動金利型住宅ローンの基準金利は、原則として短期プライムレートと連動しているため、多くの金融機関で変動金利型住宅ローンの基準金利が引き上げられました。主要銀行における新規で借り入れる場合の基準金利の上昇幅は図表1の通りです。
図表1
各銀行のホームページより筆者作成
※2025年5月時点の情報です
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返済額が上がらない理由は5年ルール
基準金利が上昇したからといって、必ずしもすぐに返済額が変わるわけではありません。その理由は「5年ルール」という仕組みによるものです。
5年ルールとは、借入期間中に適用金利が変動しても、返済額は5年に1度の見直しまで変わらない仕組みで、返済方法として元利均等返済を選択した場合に多くの金融機関で採用されています。この仕組みによって、基準金利が上がったとしても、5年に1度の返済額見直しのタイミングでなければ返済額が変わらないのです。
5年ルールの落とし穴
5年ルールが適用され、返済額が変わらないからといって安心はできません。住宅ローンの借り入れのときに立てた返済計画通りに返済できなくなる可能性があります。
そもそも住宅ローンの返済額は、元金の返済と利息の支払いの2つに充てられます。基準金利が上昇しても返済額は変わらないため、増えた利息分の支払いも返済額の中から充当されます。その結果、元金の返済に充てられる金額が減少し、ローン残高がなかなか減らないという状況に陥ってしまいます。
本来であれば減るはずだった元金が減らず、その元金に対してさらに利息がつくため、長期的には総返済額が増加する可能性があります。最終回の支払額が増加するなど、計画通りの返済ができなくなる場合があることに注意しましょう。
ローン返済額が変わらないことのリスクも正しく理解しよう
多くの金融機関で、4月から変動金利型住宅ローンの基準金利が引き上げられましたが、5年ルールによって、必ずしもすぐに返済額が増えるわけではありません。
しかし、5年ルールで返済額が変わらない中で金利が上昇すると、増えた利息分の支払いが優先され、計画通りに元本の返済が進まず、総返済額が増加する可能性があります。金利の状況によっては、繰り上げ返済や固定金利への借り換えを検討するなど、そのときの状況に合わせた対策を考え、無理のないローン返済を心がけましょう。
出典
日本銀行 2025年1月金融政策決定会合での決定内容
住宅金融支援機構 住宅ローン利用者の実態調査【住宅ローン利用者調査(2024年10月調査)】
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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