隣に家を建てた夫婦が「定年して地元に帰ってきた」と話していました。定年後に「住宅ローン」を組むって大丈夫なのでしょうか…?
配信日: 2025.05.22

この記事では、定年後の住宅ローンや家の購入に際して気をつけることなどについて解説します。

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定年後に家を建てる人の割合
「家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)結果の概要」によると、世帯主が60歳以上で二人以上世帯の持ち家率は89.4%です。次に、年代別に家を建てた割合を見てみましょう。
表1
30歳未満 | 30代 | 40代 | 50代 | 60歳以上 | |
---|---|---|---|---|---|
令和3年 | 10.9% | 38.6% | 22.3% | 9.8% | 18.4% |
令和4年 | 12.3% | 36.9% | 21.7% | 10.6% | 17.9% |
令和5年 | 10.1% | 36.7% | 21.6% | 10.5% | 20.4% |
出典:国土交通省 住宅局「令和5年度住宅市場動向調査報告書」を基に筆者作成
いずれの年も30代が最も多いですが、60歳以上で家を建てた人は50代よりも多い結果です。定年による生活スタイルの変化が、家を建てるきっかけになっていると考えられます。
定年後も住宅ローンを組める
住宅ローンを申し込む条件として、金融機関では年齢制限を設けています。一般的に借入時年齢が満18歳~70歳未満、完済時年齢が80歳未満です。そのため、定年後の年齢でも住宅ローンを組めます。
年齢以外に住宅ローンの申請条件として、団体信用生命保険に加入することがあります。この保険は、住宅ローンの契約者が死亡した場合や高度障害状態になった場合に残りの住宅ローンの支払いが免除される保障です。
金融機関ごとに違いがあるので希望する金融機関の条件を確認しましょう。
家の購入資金と老後資金
定年後に家を購入する資金として、退職金を充てると考える人が多いのではないでしょうか。住宅ローンの借入を少なくするためにも、最初にできるだけ多く資金を投入したほうがいいのですが、老後の生活費についても考える必要があります。
また、定年後の住宅ローンは返済期間が短くなるため、毎月の支払いの負担も大きくなります。厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、管理・事務・技術職の退職金の平均額は、大学・大学院卒は1896万円、高校卒は1682万円です。
定年後の生活費を見てみると、「家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)結果の概要」では、65歳以上の夫婦二人のみの無職世帯の毎月の平均支出が25万959円となっています。定年後の生活費も考えて、住宅ローンを組むようにしましょう。
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定年後に家を建てる際に気をつけること
定年後に家を建てる場合には、老後の暮らしをどのようにしたいのか考えて家づくりをしましょう。考えておくこととして、お金や生活環境、バリアフリーなどについて解説します。
家の維持費を用意する
住宅ローンや購入資金とは別に住宅の維持費を用意する必要があります。まず考えなければならないのが、固定資産税です。住宅を購入したら毎年かかります。
その他、家の修繕費やリフォーム代などについても考慮しなければなりません。定年後から住み始めた家も、人生100年時代といわれる現代では20年近く住むことになるため、修繕やリフォームが必要となる可能性があります。
周辺の環境をよく調べる
定年後に家を建てる場合には周辺の環境をよく調べましょう。通勤を考える必要もなく、郊外でゆったり暮らすことも選べますが、公共交通機関は整っているか、近くにスーパーや医療機関があるのか確認することをおすすめします。
また、車生活をしていた場合には、いずれ手放すことも視野に入れておきましょう。さらに、子どもや親戚が訪ねてきやすい環境であれば、困った時に助けてもらいやすくなります。
老後に生活しやすい作りにする
定年後に新しく家を建てるのであれば、将来、体が動きにくくなることも考えた家づくりをしましょう。具体的には、バリアフリーを取り入れた設計やトイレに行きやすい間取りなどです。
また、玄関にスロープをつけたり、車いすが通れるだけの幅を持たせたりすることもおすすめです。最初にバリアフリーを見越した作りにしておくと、介護が必要になった時のリフォーム代を節約できます。
定年後の住宅ローンは無理のない範囲で組もう
定年後も条件をクリアすれば住宅ローンを組めます。ただし、老後の生活を見据えて住宅ローンを組むことが大切です。貯蓄額や定年後の収入を計算して無理のない金額にしましょう。
出典
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)結果の概要(11、19ページ)
国土交通省 令和5年度住宅市場動向調査報告書 (102ページ)
厚生労働省 令和5年度就労条件総合調査概況(17ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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