奨学金の「繰り上げ返還」はいくらからできるのでしょうか? 夏のボーナスで繰り上げ返還したいです。
配信日: 2025.05.04

本記事では、繰り上げ返済の手続き方法やメリット、知っておきたい注意点について解説します。

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繰り上げ返済の最低金額や手続き方法
繰り上げ返済では、全額もしくは一部返済ができます。一部返済では「金額指定」と「回数指定」の2通りがあり、ライフスタイルや手元資金に応じて柔軟に選ぶことが可能です。
1円単位で繰り上げ返済できる
繰り上げ返済は1円単位で申し込めます。なお、最小金額の目安は割賦金(月々の返済額)の2倍です。金額指定で申し込んだ場合、その範囲内で繰り上げできる回数が調整されます。
繰り上げ返済を行う場合、あまりにも少額だと効果が限定的になるため、少なくとも割賦金の数回分以上を目安とするのがおすすめです。例えば月額が1万5000円の場合、4万5000~6万円以上(3、4回分以上)を繰り上げることで、返済期間の短縮を実感しやすくなります。
インターネットで申し込みが可能
繰り上げ返済の申し込みは、日本学生支援機構のウェブサービス「スカラネット・パーソナル」から24時間可能です。郵送での手続きもできますが、締め切り日や記入ミスには注意してください。不備があると、希望のタイミングで繰り上げ返済ができません。
夏のボーナスを活用するメリットとは?
有利子型の「第二種奨学金」を利用している方にとって、繰り上げ返済のメリットは「利息負担の軽減」です。第二種奨学金は、返済期間が長引くほど利子負担が増えます。繰り上げ返済すれば、将来発生するはずだった利子が不要になるのがメリットです。
例えば、100万円を年利0.5%、15年返済で借りた場合の総返済額は以下の通りです。
総返済額:約103万8000円(利子:約3万8000円)
毎月の返済額:約5767円
このうち、切りのよい5万円・10万円を残りの返済期間13年の時点で繰り上げ返済した場合で利子について考えてみましょう。
●5万円×0.5%(=0.005)÷12ヶ月×(残存年数13年=156ヶ月)=3250円
●10万円×0.5%(=0.005)÷12ヶ月×(残存年数13年=156ヶ月)=6500円
単純計算ですが、繰り上げ返済した元金に将来かかるはずだった利子(3250~6500円)が不要になることが分かります。返済のタイミングや利率によっても異なりますが、繰り上げ返済を行えば利子負担の軽減が期待できるでしょう。
返済金額が大きいほど利子負担軽減効果も大きい
返済金額が大きいほど、利子負担軽減効果も大きくなります。加えて、ボーナスという一時収入を活用すれば、日常生活の資金繰りに影響を与えることなく負担を軽くできます。
また、「返済が進んでいる」という心理的な安心感は、働くモチベーションや家計管理によい影響をもたらしてくれることも無視できません。返済期間が長い場合は、途中で気持ちを切り替える意味でも、ボーナス時期の繰り上げ返済はおすすめです。
繰り上げ返済の注意点
繰り上げ返済には多くのメリットがありますが、状況によっては繰り上げ返済ができないケースもあります。例えば「返還期限猶予中」や「減額返還中」の方は、繰り上げ返済ができません。返済負担を一時的に軽減する制度のため、制度適用中は繰り上げ返済できないため注意しましょう。
繰り上げ返済しないほうがよい場合
「特に優れた業績による返還免除」を申請中の方も注意してください。結果が出る前に繰り上げ返済を行ってしまうと、免除の対象外になる恐れがあります。申請結果が届いてからの対応が原則です。
また、繰り上げ返済のために、生活費や緊急時に備えた貯蓄を取り崩すのは本末転倒です。あくまで「余裕資金」を使って行うべきであり、ボーナスで繰り上げ返済する場合も、無理のない範囲で行いましょう。
繰り上げ返済は賢く行おう
奨学金返済が億劫に感じられるとき、繰り上げ返済を行えば精神的な負担を軽減できます。特に夏や冬のボーナス時期を活用すれば、家計への負担を抑えながら、利子負担の軽減や、返済期間の短縮が可能です。日本学生支援機構では1円単位で一部繰り上げ返済が可能で、インターネットから簡単に手続きが行えます。
ただし、減額返還中や返済免除申請中の方は、タイミングに注意が必要です。また、生活資金を犠牲にしてまで繰り上げ返済をするのはおすすめしません。まずは家計を見直し、無理のない返済プランを立てるようにしましょう。
出典
独立行政法人 日本学生支援機構 繰上返還申込み
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー