貯金が300万円なのに住宅購入は「年収の5倍までなら大丈夫」という夫。正直「高すぎ」と思うのですが「落とし穴」はあるのでしょうか?
配信日: 2025.02.13


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住宅購入価格の上限「年収の5倍論」の根拠
住宅購入の際、多くの人が目安にするのが「購入価格は年収の5倍まで」という基準です。これは、年間のローン返済額が年収の25%以内に収まる計算に基づいています。年収500万円の場合、年間の返済額は約125万円、月々の返済は10万円程度となります。
住宅ローンの借入可能額の計算でも、多くの金融機関はこの金額を目安としています。しかし、この基準が誰にとっても無理なく返済できる借入金額であるとはかぎりません。そこで、実際に住宅ローンを組む際は、家庭の収支やライフプランに応じて判断するようにしましょう。
頭金をどれだけ確保できるかが大切
住宅購入価格が年収の5倍を超えていたとしても、十分な頭金を用意できていれば月々の返済負担は抑えられます。
「不動産の相談窓口」を運営する、株式会社ライフアドバンス(東京都渋谷区)が実施した「住宅購入に関するアンケート調査」(調査期間:2024年9月18日~10月2日、調査対象:住宅を購入したことのある人310人)によると、住宅の購入時の貯金額で最も多かったのは501万円~800万円でした。
一般的に、住宅ローンを組む際は借入金額の10~20%の頭金が必要とされています。頭金の割合をさらに高くできれば、無理のない返済プランを立てられるでしょう。
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本当に大丈夫? 「盲点」と「リスク」
住宅ローンを組むときには、起こりうるリスクも考慮したうえで借入金額を決める必要があります。ここでは、住宅ローンを組む際に注意すべきポイントを見ていきましょう。
返済負担率の限界
住宅ローン審査では、返済負担率(年収に対する返済額の割合)が重視されます。一般的には年収の25~35%が目安とされますが、この割合は家計全体に余裕がある前提です。
例えば、子どもの教育費や老後の資金が不足していると、目安の上限まで借り入れると家計が圧迫されるリスクが高まります。月々の返済額にゆとりを持たせたいなら、年収の25%以下に抑えるのが理想です。
将来の金利上昇リスク
多くのローン契約者が利用する変動金利型の住宅ローンは、金利上昇の影響を受けます。低金利時代には魅力的ですが、将来的に返済額が増加するリスクに注意しなければなりません。
住宅の維持費と予備費が不足するリスク
住宅購入後には固定資産税、修繕費、保険料などの維持費が発生します。さらに、家電や設備の買い替えのための予備費も必要です。
しかし貯金が300万円の場合、頭金や諸費用を支払うと手元資金がほとんど残らない可能性が高いでしょう。これらを見落とすと、「住宅購入時は余裕があったはずなのに、毎月の家計が厳しい」という事態に陥る恐れがあります。
ライフイベントによる収支変動
子どもがいる家庭では、中学や高校進学時の学費や大学進学時の学費や仕送りなど、教育費や養育費の負担が増えるタイミングがあります。年収500万円では、これらの費用を捻出しながら住宅ローンを返済するのは難しい場合があります。また、将来の医療費や親の介護費用といった支出も考慮する必要があるでしょう。
地方都市特有のリスク
地方都市では、物件価格が都市部に比べて抑えられる傾向がありますが、立地や維持費の面で不利な側面があります。例えば、将来的に物件を売却する際、都市部よりも資産価値が下がりやすいというリスクも無視できません。
ファミリーの場合、子どもの独立に伴い住み替えが必要になることがあります。その際も、資産価値が下がった住宅は売却が難しくなるので注意が必要です。
まとめ
「年収の5倍」という目安は参考にすぎず、家族のライフプランや将来の支出を見越して慎重に判断することが大切です。
特に、地方都市在住で車の維持費などが必要な場合は、月々の住宅ローン返済額だけでなく総合的に家計管理するようにしましょう。住宅購入は人生の大きな決断ですので、専門家のアドバイスを受け、無理のない購入計画を立てることをおすすめします。
出典
株式会社ライフアドバンス 【マイホーム購入について】男女310人アンケート調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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