大学無償化制度は「私立」でも「国公立」でも使えるの? 子どものカウント方法に注意点はある?

配信日: 2025.06.10

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大学無償化制度は「私立」でも「国公立」でも使えるの? 子どものカウント方法に注意点はある?
2020年4月から「高等教育の修学支援新制度」が始まり、収入要件などを満たした方は、大学などの入学金や授業料が実質無償にされます。さらに2025年4月からは、子ども3人以上世帯の大学などの入学金や授業料が、実質無償化されました。対象の大学や無償化の要件は、どのようになっているのでしょうか。
吉野裕一

夢実現プランナー

2級ファイナンシャルプランニング技能士/2級DCプランナー/住宅ローンアドバイザーなどの資格を保有し、相談される方が安心して過ごせるプランニングを行うための総括的な提案を行う
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2020年からの「高等教育の修学支援新制度」から拡充

2020年4月から実施されている「高等教育の修学支援新制度」は、大学・短期大学・高等専門学校(4年・5年)・専門学校に通う学生のうち、世帯が収入や資産の要件を満たしており、進学先で学ぶ意欲がある学生を私選する制度です。
 
全ての世帯が対象になるわけではなく、住民税非課税世帯か、住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生が対象となります。「住民税非課税世帯に準ずる世帯」は、家族構成によって所得要件が異なりますが、一般に「住民税は課税されているものの、低い金額にとどまる世帯」となります。
 
手続きをする際には、通学している大学等を通じて日本学生支援機構に申し込みます。
 
これまでは世帯の所得要件がありましたが、2025年4月から実施されている制度では所得制限が撤廃され、「扶養している子どもが3人以上」と要件の拡充された「多子世帯に対する大学等の無償化」という制度も始まりました。この制度を利用する際は、従前の方法と同様に通学する大学等を通じて日本学生支援機構に申し込みをします。
 

対象の大学は? 子どもの要件は?

新たに拡充された「多子世帯に対する大学等の無償化」は、扶養している子どもが3人以上いる場合に、入学金や授業料が実質無償化されるという制度です。
 
対象となる大学などは、文部科学省ホームページの「支援の対象となる大学・短大・高専・専門学校一覧」から確認することができます。国公立大学だけではなく、私立大学や高等専門学校、専門学校も対象となっています。減免上限額(年額)は、図表1のとおりです。
 
図表1 減免上限額(年額)

国公立 私立
入学金 授業料 入学金 授業料
大学 28万円 54万円 26万円 70万円
短期大学 17万円 39万円 25万円 62万円
高等専門学校 8万円 23万円 13万円 70万円
専門学校 7万円 17万円 16万円 59万円

※文部科学省「高等教育の修学支援新制度」より筆者作成
 
国公立では実質的に家計の負担がゼロになり、私立でも家計負担の減少につながります。
 
なお、「多子世帯に対する大学等の無償化」の対象となるのは扶養している子どもが3人以上いる世帯ですが、長子が大学を卒業して就職し扶養から外れた場合は対象外となる点にも、注意が必要です。
 

学業要件にも注意

前項の「高等教育の修学支援新制度」の所得要件や、「多子世帯に対する大学等の無償化」の扶養人数要件を満たしていても、学業要件を満たす必要があります。具体的には、「警告(支援は継続)となる要件」と「廃止(支援打ち切り)となる要件」があります。
 
「警告となる要件」は、出席率が8割以下・修得単位が7割以下・GPA(成績評価)が所属する学部等の下位4分の1に該当した場合です。「廃止となる要件」は、出席率が6割以下・取得単位が6割以下・警告要件に2回連続で該当した場合となります(図表2)。
 
図表2

警告(支援は継続)となる要件
・出席率が8割以下
⇒半期15回の授業のうち欠席が3回以上
・取得単位数が7割以下
⇒単位数が、
1年生・・・・21単位以下
2年生・・・・43単位以下
3年生・・・・65単位以下
4年生・・・・86単位以下
(卒業に必要な単位数が124単位の場合)
・GPA(成績評価)が、所属する学部等の下位4分の1
廃止(支援打ち切り)となる要件
・修業年限内で卒業・終了ができないことが確定
・出席率が6割以下
 ⇒半期15回の授業のうち欠席が6回以上
・取得単位数が6割以下
 ⇒単位数が、
 1年生・・・・18単位以下
 2年生・・・・37単位以下
 3年生・・・・55単位以下
 4年生・・・・74単位以下
 (卒業に必要な単位数が124単位の場合)
・警告要件に2回連続で該当
 ※2回目の警告がGPA要件のみの場合は、
支援打ち切りではなく、次の判定まで支援停止

※文部科学省「高等教育の修学支援新制度」より筆者作成
 

まとめ

「高等教育の修学支援新制度」は住民税非課税世帯か住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生のうち、進学先で学ぶ意欲のある学生の入学金や授業料を減免して、実質的に家計の負担をゼロにするか減少させる制度です。
 
また、2025年4月からは「多子世帯に対する大学等の無償化」として、扶養している子どもが3人以上いる場合に入学金や授業料を減免する制度が始まっています。しかし、長子が卒業して扶養から外れたことによって、扶養している子どもが3人未満になった場合、この制度の対象からは外れる点に注意が必要です。
 

出典

文部科学省 高等教育の修学支援新制度
文部科学省 支援の対象となる大学・短大・高専・専門学校一覧
 
執筆者:吉野裕一
夢実現プランナー

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