大学生の甥への仕送りが「月10万円」超と聞いてビックリ! 東京の大学に進学したそうですが、都会ならこれくらい“当たり前”ですか? 家計が厳しいわが家は、近場で進学させるべきでしょうか?
配信日: 2025.06.07

同時に、一人暮らしをする大学生の親たちはみんなそれだけの仕送りをしているのだろうかと疑問を抱くかもしれません。
本記事ではそんな不安や疑問に応えるべく、全国大学生協連の最新データをもとに仕送りの実態と、一人暮らしをする大学生の資金の内訳について解説します。

ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
全国平均は月7万2350円。月10万円の仕送りは全体の3割以下
全国大学生活協同組合連合会が2024年に実施した「第60回学生生活実態調査」によると、全国の下宿生への1ヶ月の平均仕送り額は7万2350円です。さらに細かく見ると、仕送り「0円」の学生は下宿生全体の6.9%、「5万円未満」が16.1%、「5万円以上10万円未満」が31.1%、「10万円以上」が27.2%となっています。
このことから月10万円の仕送りをしている家庭は平均的とは言い難いものの、決して少ないわけではないと言えるでしょう。特に東京をはじめとする都市部は家賃の負担も大きい分、仕送り額が全国平均より高くなる可能性があります。
とはいえ、「東京だから絶対に10万円の仕送りが必要」ということではありません。学生向け物件の中には、東京都内でも5万円台で借りられる物件や、家具家電付きの物件、食事つきの物件などもあるので、都内への進学を望むのであれば早めに調べてみるといいでしょう。
とはいえ月10万円の仕送りは厳しい……そんなときみんなはどうしている?
子どもが東京の大学に進学する場合に、月10万円の仕送りをする親は珍しくないとはいえ、実際にそれだけの仕送りを子どもの大学卒業まで続けるのは苦しいという家庭は少なくないでしょう。
そのことは、下宿生への仕送り額の平均が過去10年にわたってほとんど変わっていないことからも伺えます。家賃や食料品、日用品などの物価指数(東京都区部)がこの10年で約13ポイント上昇しているなか、仕送り額の平均はほぼ横ばいという状況は、仕送りをする側の親世代の生活自体が厳しいことを感じさせます。
では、十分な仕送りを受けることができない学生はどのように生活費を得ているのでしょうか? 答えは、奨学金とアルバイトです。
全国大学生活協同組合連合会によると、仕送りが「0円」の下宿生は平均して毎月6万6540円の奨学金を受け取っており、アルバイト代は平均4万7960円です。
一方、仕送りを受けながら奨学金も受給している下宿生もいます。下宿生全体の奨学金の平均受給額は月1万9140円、アルバイト代は3万7540円で、仕送りだけでは足りない分を自力でまかなっている下宿生も少なくないとみられます。
ただ、奨学金を受給している学生には将来の返済に対する不安もあること、アルバイトをしている学生はバイトに時間を取られ過ぎて学業に影響が出る可能性もあることから、奨学金やアルバイトで足りない分を補う場合も、学生本人の負担が大きくなり過ぎないよう慎重に検討すべきでしょう。
家計と子どもの将来、どちらも犠牲にしない進路選びを
物価高や教育費の増加が続く中、都市部の大学を希望する子どもを応援したい気持ちと現実的な家計のバランスに悩むのは当然のことです。
今回紹介したように仕送り額には個人差があり、「毎月10万円の仕送り」が当たり前というわけではありません。奨学金やアルバイトを活用しながらも、学業や将来の負担を考え、無理のない生活設計を目指している学生が多くいます。
大切なことは、親だけで悩まず、子どもと一緒に進学後の生活や支援についてしっかり話し合うことです。将来どんな道に進みたいのか、そのためにどこで何を学ぶべきか。絶対に東京の大学でなくてはいけないのか、東京以外のエリアへの進学や、自宅通学が可能な大学ではダメなのか。
経済的な現実と向き合いながらも夢を実現させるための方法を親子で話し合うことで、進学後の学びにもきっといい影響があるはずです。
今できることは、正しい情報を集め、早めに準備を始めること。お金のことも、将来のことも、親子で一緒に考えていきましょう。
出典
全国大学生活協同組合連合会 第60回学生生活実態調査 概要報告
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー