2025年から私立高校が無償に? 家庭の年収や住む地域で“支給額が変わる”のはなぜですか?
配信日: 2025.06.04

本記事では、私立高校授業料無償化について紹介します。

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私立高校授業料実質無償化とは
3月31日の衆議院本会議により、高校の授業料無償化などを盛り込んだ国の2025年度予算が成立しました。2025年4月より、これまで所得制限があった高校生の就学支援金について、所得制限が撤廃されました。
このことにより、これまで公立・私立ともに年間11万8800円の就学支援金については世帯年収約910万円未満(目安)の所得制限がありましたが、現在はすべての世帯が受け取れるようになりました。
さらに、私立高校の就学支援金39万6000円についても現行では世帯年収約590万円未満(目安)の所得制限がありますが、来年度には所得制限を撤廃し、すべての世帯が受給できるようにする方向で検討が進められています。
家庭の経済状況によっては私立高校に行けず、公立高校を選ぶ生徒も存在していました。しかし、授業料が実質無償化になれば経済的な負担が解消され、選択技が広がります。
一方、私立高校への注目が高まることで公立高校の志願者が減少する状況も懸念され、少子化による生徒数の減少が起きている地域では、公立高校の存続が課題となっています。
支援内容は都道府県によって異なる
私立高校無償化の補助内容については都道府県によってそれぞれ異なります。補助対象となる世帯の所得制限や対象となる学校や無償化となる範囲などは、各自治体の制度内容を知る必要があります。
年度が替わると支援内容や金額は変更になることも考えられますので、お住まいの自治体のホームページ等を確認いただくことをおすすめします。
私立高校無償化の対象基準
国の基準により授業料が無償化になる対象は、「市町村民税の課税標準額×6%-市町村民税の調整控除の額」によって判定されます。調整控除とは、所得税と住民税の人的控除(基礎控除や扶養控除など)の金額の違いによって生じる税負担の差を調整するために、個人住民税の所得割から一定額を控除する制度です。
対象となる世帯の年収目安については、両親のどちらか一方が働いている場合、または共働きの場合で異なります。
判定は、世帯の市町村民税課税標準額と調整控除額の合計で行います。計算式による基準額が、15万4500円未満の場合は授業料が無償化、15万4500円以上30万4200円未満(年収目安910万円未満)の場合は基準額(11万8800円)支給の対象となります。
例えば以下は、父の課税標準額が250万円、母が180万円で、父の調整控除が3000円、母が2000円の場合の計算式です。
(250万円×6%-3000円)+(180万円×6%-2000円)
=14万7000円+10万6000円
=25万3000円
したがって、この世帯は15万4500円を超えるので無償化の対象外ですが、30万4200円未満なので基準額(11万8800円)の支給対象となります。
なお、政令指定都市の場合、調整控除の額に4分の3を掛けて計算し、都道府県別の制度の条件に合わせて確認が必要です。
実質無償化を最大限に活用するために制度を確認しよう
私立高校無償化については、「市町村民税の課税標準額×6%-市町村民税の調整控除額」が15万4500円未満の場合、国の就学支援金により年額39万6000円まで授業料が支給され、実質無償化となります。
さらに、都道府県別によっては上記の国の基準に上乗せして、独自の支援を行っている場合があるため、最新の自治体情報を確認しましょう。
出典
文部科学省 令和6年度 都道府県別 私立高校生(全日制)への修学支援事業
文部科学省 高校生等への修学支援 高等学校等就学支援金制度に関するQ&A
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
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