「大学行くなら自分で奨学金を借りて」と言うのは冷たい親ですか? 奨学金の平均借入額はどのくらい?

配信日: 2025.05.29

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「大学行くなら自分で奨学金を借りて」と言うのは冷たい親ですか? 奨学金の平均借入額はどのくらい?
経済的な理由で大学への進学を継続することが難しい場合、「奨学金」を活用して進学する方法があります。
 
今回のケースでは、子どもの大学進学資金を援助できない親が、奨学金の申請を検討しているようです。
 
奨学金制度には、大きく分けて、返済不要のタイプと返済が必要なタイプがあります。どちらを活用できるかによってその後の生活設計が変わることがあるでしょう。
 
本記事では、奨学金の平均借入額を参照しつつ、奨学金の利用に関して覚えておきたいポイントをご紹介します。
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奨学金制度の概要

奨学金は、教育基本法に定められた「教育の機会均等」を理念とした制度です。学習意欲がありながら、家庭の経済的な問題などが理由で学業継続に支障が出ている場合に活用できます。
 
奨学金の種類と平均借入額をそれぞれ見ていきましょう。
 

奨学金の種類

文部科学省所管の独立行政法人「日本学生支援機構(JASSO)」が支援する奨学金には、大きく以下の2種類があります。

●給付型奨学金:原則返還不要
●貸与型奨学金:返還が必要

このうち給付型奨学金を利用する方が、貸与型奨学金よりも認定条件のハードルが高いです。そのため給付型奨学金を利用できない、あるいは給付型奨学金を利用しながら追加の援助を受けたい場合に、貸与型奨学金を申請するとよいでしょう。
 
貸与型奨学金はさらに、利子が付かない「第一種奨学金」と、利子が付く「第二種奨学金」があります。第二種奨学金の方が申し込みのハードルが低いようです。
 

奨学金の貸与月額と平均借入額

独立行政法人日本学生支援機構によると、第一種奨学金の貸与月額(選択可能)は表1の通りです。
 
表1

第一種奨学金(自宅) 第一種奨学金(自宅外)
大学
(国公立)
2万円、3万円、4万5000円 2万円、3万円、4万円、5万1000円
大学
(私立)
2万円、3万円、4万円、5万4000円 2万円、3万円、4万円、5万円、6万4000円

出典:独立行政法人日本学生支援機構「第一種奨学金の貸与月額 平成30年度以降入学者の貸与月額」を基に筆者作成
 
第一種奨学金は、対象学生の通学形態によって「自宅」と「自宅外」のカテゴリーに分かれています。国公立・私立いずれの場合も、自宅外通学者の方が奨学金の貸与額が多い傾向にあります。
 
なお労働者福祉中央協議会が2024年6月に実施した「高等教育費や奨学金負担に関するアンケート2024」によると、独立行政法人日本学生支援機構からの貸与型奨学金の平均借入総額は344万9000円でした。
 

大学資金捻出が難しい時は家族で奨学金の検討をしよう

子どもの進学資金を援助できないと「冷たい親」と感じてしまうかもしれません。しかし進学には多額の費用がかかるため、援助したくてもできないケースがあるのは仕方ないことです。
 
独立行政法人日本学生支援機構の「奨学金事業に関するデータ集」によると、令和5年度における大学生273万9931人のうち、奨学金制度を利用している学生の割合は31.9%でした。進学するうえで奨学金を頼りにしている家庭は珍しくないといえるでしょう。
 
奨学金の利用是非について家族で話し合うのはよいことです。例えば以下のような点を話し合えるかもしれません。

●大学資金はいくらかかるか
●子どものバイト代を含めれば捻出できるか
●奨学金を申請する必要があるか
●「給付型奨学金」を申請できそうか
●「貸与型奨学金」を申請する必要がある場合、第一種と第二種どちらを申請できるか
●将来返済で生活設計が難しくならないか

独立行政法人日本学生支援機構の公式サイトにある「進学資金シミュレーター」を利用すると、奨学金制度の対象になるかをおおまかに調べられます。
 
貸与型奨学金の場合、いずれお金を返済しなければなりません。返済額が多すぎると、後々生活に困るおそれもあるでしょう。そのため無理のない返済計画が立てられる額の借り入れにおさえることが大切です。
 

奨学金の平均借入総額は約345万円

2024年の調査によれば、独立行政法人日本学生支援機構からの貸与型奨学金の平均借入総額は約345万円です。給付型ではなく貸与型の奨学金を利用する場合、事前に借入額のシミュレーションを慎重に行うと、将来の返済計画を現実的なものにしやすくなります。
 
まずは進学のためにどのくらいの費用がかかるのか、給付型奨学金に申し込めない場合はいくら借りる必要があるのかなどを明確にしましょう。そうすることにより、具体的な数字を挙げながら家族と話し合えます。
 
大学生で奨学金制度を利用している人は3割以上あり、一般的な資金繰りの手段といえます。奨学金利用を検討するからといって「冷たい親」と感じてしまう必要はないでしょう。
 

出典

独立行政法人日本学生支援機構 第一種奨学金の貸与月額 平成30年度以降入学者の貸与月額
独立行政法人日本学生支援機構 奨学金事業に関するデータ集 令和7年1月 2.事業の規模学校種別貸与・給付状況(16ページ)
労働者福祉中央協議会 【高等教育費や奨学金負担に関するアンケート2024】全国3,000人を対象に調査-半数以上が高等教育費への公費負担拡充求める
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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