年収1200万円のわが家は、私立小に通う子どもの習い事に年間80万円…他の家庭もこれくらいかけているのでしょうか?
配信日: 2025.05.28

今回は、学校の種別や世帯年収ごとの教育費、特に「習い事」にかかる費用の実態を解説します。

ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
公立と私立で大きく異なる学習費総額
文部科学省が公表した令和5年度の調査によると、子ども1人あたりの年間学習費総額は、公立小学校で約33万6000円、私立小学校では約182万8000円にのぼります。その差は約5.4倍にもなり、私立に通わせる場合、教育費の負担が格段に大きくなることが分かります。
この「学習費総額」には授業料や教材費、給食費のほか、塾・習い事などの学校外活動費も含まれます。学習費総額も私立は公立と比べて高額になる傾向が続いています。
年収が上がるほど増える「学校外活動費」
教育費の中でも、年収によって最も差が出やすいのが、塾や習い事などの「学校外活動費」です。以下は、世帯年収別に見た「年間の学校外活動費」を示した表です。
表1:公立小・中・高校の学校外活動費(年収別)
世帯年収 | 小学校 | 中学校 | 高校(全日制) |
---|---|---|---|
400万円未満 | 16.3万円 | 18.2万円 | 7.6万円 |
400~599万円 | 15.3万円 | 28.0万円 | 8.6万円 |
600~799万円 | 19.9万円 | 30.7万円 | 9.0万円 |
800~999万円 | 25.0万円 | 39.8万円 | 10.8万円 |
1000~1199万円 | 30.4万円 | 48.5万円 | 21.6万円 |
1200万円以上 | 35.3万円 | 55.0万円 | 39.6万円 |
※文部科学省 令和5年度子供の学習費調査を基に筆者作成
表2:私立小・中・高校の学校外活動費(年収別)
世帯年収 | 小学校 | 中学校 | 高校(全日制) |
---|---|---|---|
400万円未満 | 49.2万円 | 26.3万円 | 16.3万円 |
400~599万円 | 42.4万円 | 22.5万円 | 17.6万円 |
600~799万円 | 48.5万円 | 34.5万円 | 19.7万円 |
800~999万円 | 50.5万円 | 37.5万円 | 22.9万円 |
1000~1199万円 | 67.9万円 | 38.2万円 | 29.3万円 |
1200万円以上 | 87.8万円 | 53.3万円 | 62.0万円 |
※文部科学省 令和5年度子供の学習費調査を基に筆者作成
上記のように、世帯年収が高いほど、学校外活動費への支出も大きくなる傾向が顕著です。特に私立に通う子どもを持つ世帯では、年収1200万円以上の家庭で「年間87.8万円」というデータが出ています。
つまり、今回のように「年間80万円」かけているケースも、私立小・年収1200万円世帯では、むしろ平均的といえるかもしれません。
さらに、子どもが2人、3人といれば、塾代・習い事代・私立進学などが重なり、年間100万円以上の学校外活動費を負担している家庭も少なくないでしょう。
教育費がどんどん上がる今、どうやって家計管理する?
物価高や学習費の上昇が続く中、教育費の負担をどうコントロールするかは多くの家庭にとって大きな課題です。奨学金や教育ローン、自治体による助成金制度などをうまく活用しつつ、早い段階で資金計画を立てておくと安心です。
また、教育費のかけ方は「量」だけでなく「質」も大切です。子どもの個性や将来像に合わせて、必要な投資を見極める目も求められるでしょう。
私立小・年収1200万円なら年間80万円は平均的な支出
「学校の種別」や「世帯年収」によって、教育費に大きな差があることが分かりました。中でも習い事を含む学校外活動費の負担感は、家計に直結する現実的な問題です。
今回の調査結果から見ると、「年間80万円」の習い事代は同世帯の平均的な支出といえそうです。
とはいえ、教育費は将来への投資でもあります。子どもの可能性を広げるためにも、家庭の方針や価値観に合ったかけ方を意識しながら、無理のない範囲で前向きに取り組むことが大切だといえるでしょう。
出典
文部科学省 令和5年度子供の学習費調査の結果
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー