大学生の息子から「みんなバイトと奨学金で通ってる」と言われ驚き! 令和の今“子どもが自腹で通う”のが当たり前なのでしょうか?「数字が示す現実」とは

配信日: 2025.05.27

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大学生の息子から「みんなバイトと奨学金で通ってる」と言われ驚き! 令和の今“子どもが自腹で通う”のが当たり前なのでしょうか?「数字が示す現実」とは
「社会人になってからの奨学金の返済が重く、生活が苦しい」そう訴える若者の声が、いまや社会問題になっています。
 
独立行政法人日本学生支援機構によれば、貸与型奨学金(返済が必要なタイプ)を利用する学生の割合は、2004年の23.3%から2022年には30.9%へと増加しており、奨学金が大学へ通うための「当たり前の手段」となっているといえそうです。
 
今は「子どもが自分でなんとかする時代」なのでしょうか? それとも、親が出せなくなってきたのでしょうか。数字をもとに、いま大学進学にかかるお金のリアルを見てみたいと思います。
浜崎遥翔

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

学費は増えても、給与は20年以上変わっていない

文部科学省の調査によれば、私立大学の初年度の入学金と授業料の合計額は、2000年度は108万350円(うち入学金29万691円)だったのに対し、2023年には120万11円(うち入学金24万806円)と増額しています。
 
また、2~4年時は入学金がかからず、同額の授業料がかかると仮定した場合、4年間の授業料と入学金の合計は2000年度入学で344万9327円、2023年度入学は407万7626円となります。
 
約20年間で約63万円増加しているのです。実際にはこのほかに設備費等の費用がかかります。
 
一方、国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、2000年の給与所得者の平均給与は約461万円、2023年は約460万円で、20年以上の間に増減の波があるものの、現状は23年前と同水準にあります。
 
学費がじわじわと上昇している一方で、収入は上がっていないため、家庭にとっての教育費負担が増えていることは、こうした数字からもはっきりと見えてきます。
 

子ども2人を大学に進学させるには、毎月いくら積み立てればよいのか

2023年時点で、私立大学4年間にかかる学費(授業料・入学金・設備費等を含む)は約520万円です。子どもが2人だと総額で約1040万円が必要になります。
 
一方、児童手当(3歳まで月1万5000円、以降は18歳まで月1万円)を全額学費に充てたとしても、1人あたり約230万円、2人分で460万円にとどまります。つまり、約580万円が不足する計算です。
 
この不足分を0歳から18歳までの18年間で準備するには、毎月およそ2万7000円の積立をしなければなりません。
 

毎月2万7000円の積立は、どれくらいの負担か

では、毎月2万7000円の積立がどれほど大変なのかを見ていきましょう。仮に手取り年収を額面の85%、生活費を手取りの6割と想定した場合、子ども2人分の学費を積み立てる負担は次のようになります。
 

・年収300万円(手取り月21万2500円):生活費として約12万7500円を差し引くと、残るのは約8万5000円なので、積立額2万7000円が占める割合は約31.7%
 
・年収400万円(手取り月28万3333円):生活費として約17万円を差し引くと、残るのは約11万3333円なので、積立の割合は約23.8%
 
・年収460万円(平均年収、手取り月32万5833円):生活費として約19万5500円を差し引くと、残るのは約13万円なので、積立の割合は約20.7%
 
・年収500万円(手取り月35万4166円):生活費として約21万2500円を差し引くと、残るのは約14万1666円なので、積立の割合は約19.1%

 
平均年収であったとしても、積立は「手取りから自由に使えるお金のうち5分の1以上」を占める計算になります。
 
さらに、大学進学には純粋な学費だけでなく、予備校や塾の費用として毎月5万円、年間60万円程度がかかることも珍しくありません。自宅外通学となれば、家賃や生活費といった仕送りも必要になってきます。
 
実際、全国大学生活協同組合連合会の「第60回学生生活実態調査」によれば、2024年の1人あたりの平均仕送り額は月約7万2000円で、4年間で合計すると350万円近くが必要です。
 
こうした支出も含めて考えると、学費のために積み立てる月額2万7000円ですら「最低ライン」にすぎないことが分かります。予備校費用や仕送り、入学時のまとまった支出まで含めれば、家庭の負担はさらに膨らむのです。
 
そのため、奨学金を使わざるを得ない家庭が多いのは、数字が示す現実だといえるでしょう。
 

「奨学金を使うしかない」は仕方ない

私立大学の学費が上がり、給与が横ばいの中で、大学進学に必要な金額を見越して積み立てようとしても、家計によってはどうしても足りないということは十分にあり得ます。
 
まずは可能な範囲で備えることが大前提ですが、それでもなお間に合わないという場合に、奨学金を使うという選択肢が必要になるのは当然といえるでしょう。
 

出典

独立行政法人 日本学生支援機構 日本学生支援機構について(令和4年事業年度業務実績等)
文部科学省 国公私立大学の授業料等の推移
私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について
全国大学生活協同組合連合会 第60回学生生活実態調査
 
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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