【昭和vs令和】給与は微増だけど、「教育費・大学進学率」は急増! 令和婚で「子どもを持つ」に不安な男性は、昭和婚の2倍以上!? いったいナゼ? 子育てにかかる“お金の変化”を比較

配信日: 2025.05.27

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【昭和vs令和】給与は微増だけど、「教育費・大学進学率」は急増! 令和婚で「子どもを持つ」に不安な男性は、昭和婚の2倍以上!? いったいナゼ? 子育てにかかる“お金の変化”を比較
少子高齢化が社会の大きな問題として取り上げられて、数十年が経ちます。少子化に歯止めがかからないことの原因として「子育てにお金がかかりすぎるから」という意見が出ることが多いのですが、実際に昭和時代と令和時代では、育児にかかるお金についてどれほどの違いがあるのでしょうか。
 
本記事では、子育てにまつわるお金の変化について、さまざまなデータをもとに考えてみます。
山田圭佑

執筆者:山田圭佑(やまだ けいすけ)

FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント

「令和婚」カップルは、約6割が「子どもを持つことを考えると、家計の状況が不安」

家計診断・相談サービス「オカネコ」を運営する株式会社400F(フォーハンドレッド・エフ)が今年2月に実施した調査によると、「お子さんを持つことを考えるうえで、家計の状況に対して不安はあります/ありましたか?」という質問に対し「不安がある/あった」と回答した人の割合は、「令和婚夫婦」の場合で58.1%と、約6割にのぼります。
 
図表1のとおり、特にこの割合は男性の増加傾向が顕著で、令和婚の男性(58.3%)では昭和婚の男性(25.0%)と比べて2倍以上に増加しているという結果になりました。一方で女性の場合は、昭和婚女性は57.9%、平成婚女性は49.3%、令和婚女性は57.9%となり、割合に増減はあるものの、ほぼ横ばいであることが特徴的です。
 
図表1

図表1

株式会社400F オカネコ オカネコ 結婚に関する意識調査(PR TIMES)
 
令和婚の夫婦においては、男女ともに「子どもを持つにあたって家計に対する不安がある」と答えた割合が過半数に達しています。夫婦共働きが一般的となっている現代の結婚生活では、夫婦間で経済的負担をどう分担し、家族計画も含めた将来に向けてのマネープランをどう立てるかが重要な課題となっていると言えるでしょう。
 

ここ数十年の、教育費・物価・実質賃金・大学進学率の推移は?

それでは、子どもを持つにあたって、少なくとも男性の経済的不安は少なかった昭和の時代において、家庭の教育費はどれほどかかっていたのでしょうか。また、その他の家計に関する経済指標はどうなっていたのでしょうか。
 
推計をするために公的機関の統計資料から、昭和の時代(1985年・昭和60年)と現代の賃金・物価・大学進学率・国立大学の学費を調べ、まとめてみました。
 
図表2

図表2

独立行政法人 労働政策研究・研修機構 常用労働者1人平均月間現金給与額 1947年~2023年 年平均
 
賃金(現金給与総額)の推移を見てみると、昭和の時代に急激に伸びた後、1998年頃をピークにして下落・横ばいの傾向であることが分かります(図表2)。
 
図表3

図表3

独立行政法人 労働政策研究・研修機構 消費者物価指数 2020年=100 1947年~2024年 年平均
 
消費者物価指数については、昭和の時代に大幅に上昇したあと、いわゆるデフレ時代の横ばいを経て、2020年代から急激な再上昇の傾向にあることが分かります(図表3)。)
 
図表4

図表4

参議院 経済のプリズムコラム No16 ―家計の消費構造の変化―子どもの減少と相反する一人あたり教育費の増加
 
子ども(0歳~18歳)の数と子ども1人あたりの年間教育費の推移を見ると、1985年以降、少子化傾向が加速している一方で、子ども1人あたりに家庭がかける教育費が上昇しつづけていることが見て取れます。(図表4)
 
図表5

図表5

文部科学省 大学等進学者数に関するデータ(参考資料集)
 
大学進学率については時代を通してずっと上昇傾向にあり、現在は全体で6割に迫っています。特に昭和60年(1985年)ごろから急激に女性の進学率が増加していることが特徴的です。(図表5)
 
また、国公立大学の入学費・年間授業料を見てみると、1985年時点では入学費12万円、年間授業料25万2000円であったのが、2025年においては入学費28万2000円、年間授業料53万5800円と、それぞれ2倍以上になっています。
 
まとめると、ここ40年間において労働者の賃金は横ばいから微増である一方、消費者物価はデフレ時代を経て上昇傾向になり、子どもにかかる教育費は大学進学率の増加とともに急激に増えていったということになります。
 
今回見てきたデータのほか、ここ40年で給与から天引きされる社会保険料や税金(消費税)が大きく引き上げられたことも考えると、子どもを持つことに不安をかかえるカップルが増えていることは、ごく自然であると言えるでしょう。
 

まとめ

昭和の時代から令和の時代にかけて、子どもを持つことに家計の不安を持つ家庭が増加している背景には、賃金の伸びが長期にわたって停滞した一方、物価・税金・社会保険料が上昇していること、加えて子どもの大学進学率や学費も増加傾向であることが影響していそうです。
 
近年になり、少子化対策として高校・大学の授業料無償化や児童手当の拡充などの政策が打ち出されていますが、十分な効果を上げているとは言えません。今後子どもを持ち、育てようとする家庭は、これまで以上に家庭のライフプランについて考えていくことが必要になりそうです。
 

出典

株式会社400F オカネコ オカネコ 結婚に関する意識調査(PR TIMES)
独立行政法人労働政策研究・研修機構 早わかり グラフでみる長期労働統計
参議院 経済のプリズムコラム No16 ―家計の消費構造の変化―子どもの減少と相反する一人あたり教育費の増加
文部科学省 大学進学者に関するデータ
文部科学省 国公私立大学の授業料等の推移
 
執筆者:山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント

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