子どもの修学旅行費に「5万円」かかるそうです。昔より高い気がしますが、今どきの相場はどのくらいなのでしょうか?
配信日: 2025.05.27

本記事では、現代の修学旅行費用の相場や内訳、その背景について解説しながら、保護者ができる費用対策についても紹介します。

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目次
今どきの修学旅行、費用の相場は?
現在の修学旅行費用は、学校の種別や行き先、日数によって異なります。文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査」によると、1年間にかかる修学旅行費等の平均額は次のとおりです。
小学校(公立):6132円
小学校(私立):3万7288円
中学校(公立):2万4250円
中学校(私立):6万5276円
高等学校(公立):3万6452円
高等学校(私立):5万9293円
今回話題になっている「5万円」という金額は、中学校の修学旅行費用としては決して珍しい額ではありません。特に、東京や大阪などの大都市部では、移動費・宿泊費・体験学習の充実などによって、それ以上になるケースも多くあります。
なお、私立高校を中心に海外を行き先とする修学旅行も実施されており、費用はさらに高額になる傾向があります。詳しい内容については、後述の「海外への修学旅行、費用や背景は?」で解説します。
昔と比べて高くなった理由とは?
子どもの修学旅行の費用が高いことに、「自分の頃はもっと安かった気がする……」と感じるのは当然でしょう。修学旅行費が高くなった主な理由には、次のようなものがあります。
1. 交通費と宿泊費の上昇
新幹線や航空機の運賃、バスのチャーター料金が燃料費や人件費の高騰により上昇傾向にあります。また、コロナ禍以降、団体旅行を受け入れる旅館やホテルの廃業が相次ぎ、受け入れ先が減少したことで、宿泊費も高騰しています。
2. 体験学習や教育プログラムの充実
最近の修学旅行は単なる観光ではなく、体験学習の機会として重視されています。職業体験や文化交流、SDGs学習など、プログラムが多様化しており、それに伴う費用もかかっています。
3. 感染症対策費の増加
新型コロナウイルス感染症の影響で、バスの増便や衛生管理の強化、マスク・消毒用品の用意など、従来はなかった感染症対策費が新たに必要となり、修学旅行費用の増加につながっています。
海外への修学旅行、費用や背景は?
一部の高校では、国際教育の一環として海外修学旅行を実施しています。ここでは、(公財)全国修学旅行研究協会が運営する「修学旅行ドットコム」が実施した、「2023(令和5)年度 全国公私立高等学校の海外修学旅行実施状況」より、実施状況や費用、行き先について見ていきましょう。
海外での修学旅行の実施状況は、公立が実施校数123校、旅行件数148件、参加生徒数1万5559人です。一方、私立は実施校数236校、旅行件数362件、参加生徒数3万3795人で、公立の倍以上が実施・参加しています。
また、海外修学旅行の費用は公立が15万円以上20万円未満の52件が最多で、次に20万円以上30万円未満が35件です。一方、私立は20万円以上30万円未満が87件と最も多く、30万円以上40万円未満が83件と続きます。50万円以上となると、公立が1件に対し、私立が43件となり、公立に比べて私立のほうが大きく費用がかかることが分かります。
国内旅行と比べて2〜3倍の費用がかかるため、保護者の経済的負担も大きくなります。最近は円安の影響もあり、さらに高額になる傾向があります。
行き先としては、公立は台湾、シンガポール、マレーシア、私立はオーストラリア、シンガポール、台湾の順となっています。ほかにも、ベトナムや韓国など東南アジアが多い傾向ですが、ハワイやグアムを選ぶ学校もあります。
修学旅行でかかるのは旅行費だけじゃない
修学旅行に必要なのは、旅行代金だけではありません。保護者が備えるべき費用は、ほかにもあります。以下は、修学旅行でかかる主な費用です。
お小遣い:小学生は3000~5000円、中学生で1〜2万円、高校生は3万円ほどが相場
旅行用品:スーツケースやリュックサック、雨具、洗面用具などの準備費用
記念品や写真代:集合写真やアルバム代が別途かかる場合もあり
これらを含めると、実質的な出費は旅行費用に加えて1〜3万円程度となりますが、用品を新調したりお小遣いを多めに持たせたりする場合は3万円を超えることもあります。
家計にやさしい対策や支援制度も活用しよう
修学旅行の費用は、決して小さな負担ではありません。しかし、うまくやりくりすることで家計への影響を抑えることも可能です。ここでは、費用を無理なく準備するための工夫や、利用できる支援制度について紹介します。
1. 学校での分割積立
多くの学校では、旅行費用を毎月の積立金として分割で集めています。月5000〜7000円であれば、家計への影響も抑えられるでしょう。
2. 自治体による助成制度
所得制限はあるものの、修学旅行費用の一部を助成する「就学援助制度」を設けている自治体もあります。詳しくは市区町村の教育委員会に問い合わせましょう。
3. 出費を抑える工夫
旅行用品は必要最低限にとどめ、家庭内で代用できるものは活用しましょう。また、お小遣いについても事前に子どもと話し合い、使いすぎを防ぐルールを決めておくと安心です。
費用だけにとらわれず、成長の機会と捉える
子どもの修学旅行は、家庭にとって大きな出費です。しかし、子どもたちにとっては集団生活や公共マナーを学ぶ貴重な機会であり、人生の大切な思い出になります。費用ばかりに目を向けるのではなく、その教育的価値を考慮したうえで、できる準備を整えていくことが大切です。
早めに情報を収集し、学校や子どもと話し合いながら無理のない計画を立て、家計の負担を抑えながらも充実した修学旅行を実現させましょう。
出典
文部科学省 令和5年度子供の学習費調査
公益財団法人全国修学旅行研究協会 修学旅行ドットコム 全国修学旅行実施状況調査 2023(令和5)年度 全国公私立高等学校の海外修学旅行実施状況
文部科学省 就学援助制度について(就学援助ポータルサイト)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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