4月から「育児休業給付」が手取りの「10割」受け取れるって本当? 給付金の上限額はないのでしょうか?
配信日: 2025.05.16

本記事では、創設されたこの2つの制度の概要と、制度活用によって支給額がどれくらい増えるのかを解説していきます。

ファイナンシャル・プランナー
中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。
出生後休業支援給付金とは?
子どもが生まれたあとで14日以上の育児休業を取得した場合に、支給要件を満たすと、従来の育児休業制度であった「出生時育児休業給付金」または「育児休業給付金」と併せて、「出生後休業支援給付金」がさらに最大28日間支給されます。
1. 支給要件
次の(1)および(2)の要件を満たす必要があります。
(1)雇用保険の被保険者が、出生時育児休業給付金が支給される育児休業を、通算して14日以上取得していること。
(2)被保険者の配偶者が、「子の出生日または出産予定日のうち早い日」から「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日」までの期間に、通算して14日以上の育児休業を取得していること。
ただし、配偶者が以下のいずれかに該当する場合には、育児休業を取得している必要はありません。
1)配偶者がいない(死亡・行方不明なども含む)
2)配偶者が被保険者の子と法律上の親子関係がない
3)被保険者が配偶者から暴力を受け、別居している
4)配偶者が無業者である
5)配偶者が自営業者やフリーランスなど雇用されていない
6)配偶者が産後休業中である
7)上記以外の合理的な理由で配偶者が育児休業を取得できない
2. 支給額
以下の算式によって支給額が決まります。
・休業開始時賃金日額×休業期間の日数(28日が上限)×13%
育児時短就業給付金とは?
育児時短就業給付金とは、2歳未満の子を養育するために時短勤務をしている場合、「時短勤務前と比べて賃金が低下する」などの条件に合致するときに支給される給付金です。
1. 支給要件
(1)2歳未満の子を養育するために、育児時短就業する雇用保険の被保険者であること
(2)育児休業給付の受給から引き続き育児時短就業を開始したこと、もしくは育児時短就業の開始日前2年間に雇用保険の被保険者である期間が12ヶ月以上あること
なお、支給期間は、時短勤務を開始した月から終了した月までが対象です。
2. 支給額
育児時短就業中に支払われた賃金額の10%相当額を支給することを原則とします。ただし、時短後の賃金と給付額の合計支給限度額を超える場合には、超えた部分が減額されます。なお支給限度額は、2025年7月31日までは45万9000円で、毎年8月1日に改定を予定しています。
まとめ
子どもが生まれた結果として就業形態を変えたことで、賃金が減少した家計へ支援をすることなどを目的としている「育児休業等給付制度」があります。
2025年4月1日からはこの制度について、従来の出生時育児休業給付金、育児休業給付金に加え、「出生後休業支援給付金」と「育児時短就業給付金」が創設されました。これにより、育児に対する経済的な支援がより充実することとなりました。
なお、具体的にいくら支給されるかは、それぞれの家庭の状況によって異なりますので、詳しくは勤め先の担当部署に確認をするとよいでしょう。
出典
厚生労働省 育児休業等給付について
厚生労働省 -2025年4月創設- 出生後休業支援給付金
厚生労働省 2025年4月から「育児時短就業給付金」を創設します
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー