15年で「180万円」払った学資保険、まさかの受取額「175万円」に愕然…!“返戻率100%未満”という落とし穴を避けるために、知っておきたいポイントとは
配信日: 2025.05.28

しかし、実際には支払った保険料総額よりも受け取れる金額が少ないケースも存在します。これを聞いたとき、「なぜそんなことが起きるのか?」「自分はそうなることを避けたい」と思うはずです。
今回は、学資保険の返戻率が低くなってしまう原因と、それを防ぐために知っておきたいポイントを解説します。

2級ファイナンシャル・プランニング技能士
そもそも返戻率とは?
学資保険における「返戻率」とは、支払った保険料総額に対して、受け取れる金額がどれくらいになるかを示す割合です。
例えば、15年間で総額180万円の保険料を支払い、受取額が175万円だった場合の返戻率は97%、受取額が198万円だった場合の返戻率は110%となります。つまり、返戻率が100%を超えていれば「プラス」、100%未満であれば「元本割れ」となるのです。
学資保険というと「確実に増える」とイメージされがちですが、実際には商品設計や契約条件によって返戻率に大きな違いが出てきます。必ずしも増えるわけではない点に注意が必要です。
返戻率100%未満になる2つの原因
学資保険が元本割れしてしまう主な原因としてあげられるのは次の2つです。
特約などをつけた場合
学資保険に医療特約などをつけてしまうと返戻率が下がり、場合によっては元本割れしてしまいます。
確かに学資保険に医療特約をつけると、万一子どもがけがや病気で入院をしたとき安心ですが、学資保険の保険料のうち、特約部分は掛け捨てとなります。貯蓄部分で増えた額よりも特約部分にかかる費用が大きいと、全体としては返戻率がマイナスになってしまうのです。
途中解約した場合
学資保険は払込期間中に解約してしまうと、返戻率が大幅に下がってしまいます。特に契約してから解約までの期間が短い場合、解約金が全くないか、あってもごくわずかとなることに注意が必要です。
元本割れを防ぎ、返戻率を上げる方法
元本割れを防ぎ、返戻率が高い学資保険に加入するためには、加入前の確認が必須です。3つのポイントを見ていきます
目的を明確にし、不要な特約は削る
学資保険の目的が「教育資金を確実に貯めること」であれば、医療特約など貯蓄とは直接関係のない保障は不要です。
多くの自治体で子どもの医療費助成制度が整っています。子どもが医療機関を受診した場合でも、自己負担はほとんどないことが一般的なので、住んでいる自治体の制度を調べた上で特約の要否を判断したいところです。
ただし、全ての特約を外して貯蓄に回せば良いというものでもありません。親が死亡または高度障害状態になった場合、その後の保険料支払いが免除される「保険料払込免除特約」は、加入しておく価値があります。病気や不慮の事故で学費が用意できないというリスクに対応できるため、学資保険加入前に確認しておきましょう。
払い込みが早く終わる保険を選ぶ
学資保険の返戻率は、保険料の払込期間にも大きく影響します。一般的に、払込期間を短くすることで、運用期間を長くできるため、返戻率は高くなります。
例えば同じ180万円を払い込む保険であっても、1ヶ月に1万2500円ずつ12年で支払うのと、1ヶ月に1万円ずつ15年で支払う場合を比較すると、12年で支払うほうが返戻率は高くなるというわけです。
また小学校入学前や小学校低学年のうちは、教育費の負担も比較的軽く、まとまった金額を貯蓄に回しやすい時期です。一方で、中学・高校に進学すると、部活動、塾代、受験費用などで支出が大幅に増える可能性も高くなります。
学資保険の払込期間を短くすることは、返戻率の観点でも、教育費のピークと保険料負担が重なるリスクを避けるという観点でも有効なのです。
中途解約をしないように無理のない保険料設定をする
学資保険の返戻率を下げたくない人が絶対に避けるべきなのは中途解約です。
毎月の保険料が家計を圧迫しないか、急な出費があった場合でも支払いを続けられるかを考え、現実的なプランを選びましょう。教育費以外の急な支出にも対応できるよう、別途で現金預金を確保しておくことも大切です。
まとめ
学資保険は「貯まるもの」というイメージを持たれがちですが、商品選びや契約内容を誤ると、返戻率が100%未満となり、元本割れしてしまう可能性があります。
特約を付加して保障を厚くしすぎること、途中で解約してしまうことが、返戻率低下の主な要因です。不要な特約を外すこと、払い込みを早く終わらせること、そして無理のない保険料設定で契約を続けることを意識して、学資保険を選びましょう。
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士