亡くなった父に借金が! 相続人は母と私、この借金はどちらが、どのように返済すればいいの?
配信日: 2025.06.05


資産運用の相談業務
資産運用の相談業務のなかで、貯金・生命保険・投資信託・変額年金保険・投資信託・NISAを取り扱い、職員指導も行なった実績を活かし、お客さまから金融商品に限らず、相続などさまざまな相談を受ける。
現在も日本FP協会のSGに参加し、研修を継続中。わかりやすく正確な最新情報の提供に努めている。
まずは、相続について確認しよう
相続は、被相続人の死亡により発生します。ご家族の死亡によりさまざまな手続きがあり、精神的にも大変ななかで進めていくことになります。相続の手続きには、期限が定められている項目もあります。心のケアも行いながら、確実に進めていきましょう。
相続が発生した後に必要なことは、以下のとおりです。
(1)相続財産の確定
(2)相続人の確定
(3)遺言の有無の確認
これらを確認し、相続の手続きを進めます。
相続財産とは
相続財産については、現金、預貯金、生命保険、不動産、株式、債券、貴金属、骨董品、最近では通帳のないデジタルの資産などもあります。マイナスの財産としては、借金、家賃、税金の未払い、各種ローンなどがあります。
これらの資産を確認する方法として、家の中、郵便物、パソコンなどから確認し、確定しましょう。近くに住んでいない親族の場合、確定することは難しいこともあるかもしれません、状況により、専門家に相談することも選択肢になります。
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法定相続人を確定する
被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの経過がすべて確認できるように、戸籍謄本を時系列でさかのぼって収集し、法定相続人を確定します。
法定相続人となるのは、以下の順位です
(1)配偶者:配偶者は常に相続人です。
(2)子ども:養子も含みます。死亡している場合は、代襲相続として「孫」
(3)親:死亡している場合は、代襲相続として「祖父母」
(4)兄弟姉妹:死亡している場合は、代襲相続と「兄弟姉妹の子ども(おい・めい)」
法定相続人は、以下の組み合わせです。
●配偶者のみ
●配偶者 + 子ども
●配偶者 + 親
●配偶者 + 兄弟姉妹
配偶者がいない場合、(1)子ども、(2)親、(3)兄弟姉妹の順位で法定相続人になります。相続人が配偶者と子ども1人の場合、法定相続分で分けると2分の1と2分の1です。
相続発生からの相続税の申告・納付までの期限を確認!
(1)7日以内……死亡届の提出
(2)相続財産の確定
法定相続人の確定
遺言の有無の確認
(3)3ヶ月以内……相続するかどうかを決定する(単純承認・限定承認・相続放棄)
(4)4ヶ月以内……準確定申告(確定申告の必要がある人が亡くなった場合)
(5)遺産分割協議
(6)相続税を計算
(7)10ヶ月以内……相続税の申告、納付
相続税の申告を10ヶ月以内に行うため、間に合うように手続きを行いましょう
相続の方法は3パターン
財産の相続には以下の3つの方法があります。
<単純相続>
プラスの財産もマイナスの財産もすべて引き継ぐ
マイナスの財産、借金が多いと支払いが必要になります。
<相続放棄>
プラスの財産もマイナスの財産も引き継がない
<限定承認>
プラスの財産の範囲でマイナスの財産を引き継ぐ
プラスの財産が多ければ、相続人は遺産を受け取れます。
相続人が、どの方法にするかを選択できます。
では、相続財産を確認しているなかで、支払わなければいけない借金などでマイナスの財産がある場合、どのようにすればよいでしょうか? 相続放棄、限定承認を選ぶと、マイナスの財産、借金を引き継がないで済みます。
相続放棄、限定承認とは
■相続放棄のメリット
●借金などの債務を相続せずに済む
●相続トラブルに巻き込まれない
●相続人それぞれが選択できる
■相続放棄のデメリット
●一度手続きすると撤回できない
●後からプラスの財産が見つかっても相続できない
●住んでいる家が相続の対象である場合、住み続けることができない
●相続放棄すると次の相続順位の人物に相続権が移る
次の順位の相続人に、支払いの義務が発生します。
□限定承認のメリット
●借金などの債務を返済せずに済む
□限定承認のデメリット
●相続人全員で手続きしなければならない、反対する相続人がいると手続きでない
●相続放棄より手続きが煩雑
プラスの財産を現金に換えて、マイナスの財産の支払いに充てます。
このように、それぞれメリット・デメリットがあるので、しっかり確認し選択しましょう。
まとめ
借金などマイナスの財産がある場合、返済の必要のない相続の方法もあります。相続人の負担になる場合どの方法がよいか、確認し相続の方法を選択しましょう。また、専門家に相談もできます。
相続の発生は突然のこともあり、親族は悲しみのなかで相続の手続きを決められた期限内に進めていくことになります。何よりも、相続人全員が納得できる相続を行うことが大切です。手続きについて確認し、相続人全員で話し合いの機会を持ち、後悔のない手続きを行いましょう。
出典
国税庁 No.4105 相続税がかかる財産
国税庁 No.4202 相続税の申告のために必要な準備
国税庁 No.4132 相続人の範囲と法定相続分
執筆者:神津喜代子
資産運用の相談業務