祖父が生前に書いていた「遺言書」が見つかりました。勝手に「開封」すると「5万円の罰金」と聞いたのですが、本当でしょうか?

配信日: 2025.05.29

この記事は約 4 分で読めます。
祖父が生前に書いていた「遺言書」が見つかりました。勝手に「開封」すると「5万円の罰金」と聞いたのですが、本当でしょうか?
亡くなった方の自宅から遺言書が発見された場合、すぐに開封して確認したくなるかもしれません。しかし、遺言書は正しい開封手順があり、勝手に開封すると違法になるおそれがあります。
 
そこで今回は、遺言書を勝手に開封して違法になるケースや正しい開封方法についてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

遺言書を勝手に開封したら違法になるのか

遺言書は、公正証書ではない場合、勝手に開封したら違法になり、5万円以下の過料が科せられます。公正証書とは、法律の専門家である公証人が遺言者に代わって遺言書を作成したものです。
 
公正証書を作成するには、証人が必要であり、遺言者は公証人と証人の前で遺言の内容を口頭で伝えます。事前に公正証書を作成しておくことで、遺言書の原本は公証役場に保管され、遺言者が亡くなったあとの検認の申請なども不要になります。制度や公証役場の利用有無によって、違法になるかならないかが異なるため、事前に確認したうえで開封した方がよいでしょう。
 
なお、自筆の遺言書を外部に保管する「自筆証書遺言書保管制度」という制度もあります。遺言書の紛失や盗難、遺言書を見つけてもらえないなどのリスクを軽減できる制度であり、法務省によると、事前に制度を利用していれば検認申請が不要です。
 

遺言書の正しい開封方法

遺言書の開封方法は、自筆証書遺言書保管制度の利用有無や、公正証書かによって手順が異なります。法律に違反しないためにも、それぞれの正しい開封方法を知っておくことが大切です。
 

制度などを利用していない自筆遺言書

自筆遺言書は表1の手順で開封を行います。
 
表1

手順 詳細
1 検認手続きを行う 【必要なもの】
・裁判所のホームページから印刷した申立書
・申請手数料800円
・連絡用の郵便切手
・以下添付書類
1.遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
2.相続人全員の戸籍謄本
3.遺言者の子どもが死亡している場合、
該当する方の出生時から死亡時位までのすべての戸籍謄本 など

遺言者の最後の住所地の家庭裁判所に検認手続きを行う

2 検認期日に家庭裁判所で検認を行う 遺言書を家庭裁判所に持っていき、出席した相続人立会のもと、
裁判官が遺言書を検認する
3 検認済証明書を受け取る 収入印紙150円(遺言書1通あたり)と申立人の印鑑を準備し、
検認済証明書の申請を行う

※裁判所「遺言書の検認」を基に筆者作成
 
自宅から遺言書が見つかった場合は、管轄の家庭裁判所に検認手続きを行い、期日を調整してから開封を行いましょう。
 

公正証書を利用した遺言書

公正証書については、遺言者が死亡したあと、相続人が自由に開封することができます。裁判所での開封手続きや公証人への連絡なども不要であり、遺言書の開封時の手続きは必要ありません。
 
公正証書の遺言書は、一般的な封筒ではなく公証役場の封筒に入れられているケースが多いため、自筆遺言書との区別は比較的しやすいでしょう。
 

【PR】「相続の手続き何にからやれば...」それならプロにおまかせ!年間7万件突破まずは無料診断

遺言書を勝手に開封してしまった場合の対処法

遺言書を勝手に開封すると、5万円以下の過料が科せられる場合があります。しかし、勝手に開封しただけで遺言書が無効になったり、相続権が失われたりすることはありません。
 
もし、開封してしまった場合は、速やかに開封手続きを行いましょう。あわせて、家庭裁判所へ開封してしまった旨も伝えておくとよいかもしれません。
 
また、遺言書を開封して内容を変えたり、遺言書自体を隠蔽(いんぺい)、破ったりした場合は相続権や遺言書が無効になるリスクもあるため、注意しましょう。
 

遺言書は正しい開封方法でなければ法律違反になる可能性がある

自筆の遺言書を遺言者の自宅で発見した場合、勝手に開封すると違法になるおそれがあります。5万円以下の過料が科せられるケースもあるため、遺言書を見つけたら家庭裁判所へ検認手続きを行い、正しい方法で開封しましょう。
 
また、遺言書は自筆証書遺言書保管制度を利用していたり公正証書であったりすれば、検認手続きは不要です。制度の利用有無によって開封方法が異なるため、それぞれの手順を理解しておくとよいでしょう。
 

出典

e-Gov法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号)
法務省民事局 自筆証書遺言書保管制度のご案内
裁判所 遺言書の検認
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集