「世帯年収1000万円はもう普通だ」と聞くけれど、うちはそこまで稼げていません。夫婦で1000万円以上稼ぐ世帯ってどのくらいあるの?

配信日: 2025.06.12

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「世帯年収1000万円はもう普通だ」と聞くけれど、うちはそこまで稼げていません。夫婦で1000万円以上稼ぐ世帯ってどのくらいあるの?
夫婦共働きが定着しつつある昨今、「世帯年収1000万円はもう普通だ」という人がいるかもしれません。実際に夫婦で1000万円以上稼ぐ家庭がどのくらいあるのか、政府のデータから確認してみましょう。
篠原まなみ

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士、管理業務主任者、第一種証券外務員、内部管理責任者、行政書士

外資系証券会社、銀行で20年以上勤務。現在は、日本人、外国人を対象とした起業家支援。
自身の親の介護、相続の経験を生かして分かりやすくアドバイスをしていきたいと思っています。

年収世帯分布

実際に、「世帯年収1000万円」は普通なのでしょうか。厚生労働省の「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」を見てみると、2022年の1世帯当たりの平均所得金額は、「全世帯」が524万2000円となっています。
 
そのうち「高齢者世帯以外の世帯」が651万1000円、「児童のいる世帯」が812万6000円、「高齢者世帯」が304万9000円となっています。中央値(所得を低い順から高い順に並べて丁度中央にあたる金額)は 405 万円、平均所得金額である524万2000円以下の割合は 62.2%です。
 
大まかな分布イメージとしては、400万円未満が48.9%、400~600万円が19.2%、600~800万円が12.2%、800~1000万円が8.3%で、400万円未満が最も多くてなっています(図表1)。
 
一方、1000万円以上の割合を足すと11.6%となり、世帯年収が1000万円以上は、少数派となっており普通とはいえません。
 
図表1

図表1

 

1世帯当たり平均年収の年次推移

2013年からの平均年収の推移を見てみると、2013年から2016年まで上がっており、その後、2020年には564万3000円まで上がりましたが、2020年に発生した新型コロナウイルスの影響で休業や時短営業を強いられた職場があったことも関係して、2021年・2022年と下がり、2022年には524万2000円まで下がりました(図表2)。
 
図表2

図表2

 

世帯主の年齢別年収

各世代で最も平均年収が高いのは、「50~59 歳」で、758万5000円となっており、最も低いのは「29歳以下」の339万5000円となっています(図表3)。
 
図表3

図表3

世帯の生活意識

2023年の生活意識別に世帯数の構成割合を見ると、「苦しい」(「大変苦しい」と「やや苦しい」を足した数字) が59.6%となっており、60%近くの人が日々の生活に苦労をしています(図表4)。
 
図表4

図表4

 

まとめ

政府のデータを確認してみると、年収1000万円以上の世帯は少数派のようです。では、なぜ「普通」という話になっているのでしょうか。理由としては、次のことが考えられます。
 
1. 都市部(特に東京圏)では高収入の仕事が比較的多く、夫婦がフルタイムで働く場合は、合算すると1000万円を超えることもありえます。
 
一方、東京圏では住宅が1億円を超えることもざらで、住宅ローンが重くのしかかります。また生活費や教育費も高いので、年収が高くても余裕がある生活とはいえないかもしれません。
 
2. SNSやメディアでは、それほど多くないセレブやパワーカップルを取り上げる傾向があります。目にとまりやすいので、印象として残りやすいということがあります。
 
3. メディアで、大企業では大幅なベースアップ(ベア)が行われることや、新入社員の初任給が30万円という話題を取り上げるので、日本において着実に給料が上がっているように感じます。しかし中小企業や非正規社員は、そこまで給料が上がっていません。
 
今見てきたように、年収1000万円稼いでいる世帯はごくわずかです。1000万円未満でも工夫をして支出を減らしたり、資産運用をしたりすることで堅実に貯蓄をすることができるので悲観することはありません。
 

出典

厚生労働省 2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況
 
執筆者 : 篠原まなみ
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士、管理業務主任者、第一種証券外務員、内部管理責任者、行政書士

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