友人が「老後に2000万円用意できない」と言っていて、私だけじゃないとホッとしたのですが、実際はこっそり貯蓄している人は多いのでしょうか?

配信日: 2025.05.15

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友人が「老後に2000万円用意できない」と言っていて、私だけじゃないとホッとしたのですが、実際はこっそり貯蓄している人は多いのでしょうか?
「老後は2000万円必要」という話を聞いたことはあるでしょう。ある程度の退職金があったとしても、老後までに実際に準備するには大変な金額です。老後までに2000万円貯蓄している人はどのくらいいるのか、データで見てみましょう。
福本知輝

福本FP事務所 代表、広島県相続診断士 会長、寺院コンサルタント

外資系金融機関を退職後、ファイナンシャルプランナーへ転身。資産運用・ライフプラン・相続・終活と、お客さまの幅広いニーズにワンストップで対応。ミドル・シニア世代、寺院のお客さまのアドバイスを得意とする。人生は一度きり、「今も将来もどちらも楽しむライフプラン」を提案する。

実際に2000万円貯蓄している人はどのくらい?

厚生労働省の「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者世帯(世帯主が65歳以上)の平均貯蓄額は約1604万円です。さらに、金融広報中央員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」によると、60代平均預貯金額は1130万円(金融資産保有世帯のみ)で、いずれも2000万円には届かない数値です。
 
また、平均値は一部の高額貯蓄世帯によって押し上げられる傾向があります。そのため、中央値(世帯を金額順に並べた真ん中)で見ると、さらに低くなる可能性があります。
 
このことから、「2000万円を貯めていない世帯」はむしろ多数派であると考えられます。
 

そもそも本当に2000万円必要なのか?

“2000万円”という数字の出どころは、金融庁の金融審議会による市場ワーキング・グループが公表した「高齢社会における資産形成・管理」という報告書です。この報告書によると高齢夫婦無職世帯の毎月の赤字額が約55000円なので、20年で約1300万円、30年で約2000万円を自身で補てんする必要がある、というものです。
 
ただ、その人によって老後に必要な金額はまったく異なります。例えば、持ち家か賃貸かによっても大きく変わってきますし、子どもとの同居の有無、生活水準によっても大きく異なりますので、2000万円という数字にこだわるのではなく、あくまで「自分らしく生活するにはいくら必要なのか」という目線で考えましょう。
 

どうやったら貯めることができるのか?

ファイナンシャルプランナーである筆者がこれまで現場で見てきた、「老後資金をしっかり準備できている人」には共通点があります。
 
1. 自動天引きの習慣がある
 
毎月決まった額を給与振込と同時に自動天引きで貯蓄しており、残ったお金で生活をする仕組みを持っています。これにより、無理なく継続的な貯蓄が可能になります。
 
2. 支出の「固定化」で生活レベルをキープ
 
「毎月の固定支出を決めて、それ以上は使わない」ことで、無駄遣いを防ぎます。細かい家計簿をつけなくても、シンプルな仕組みで支出管理ができているのが特徴です。
 
3. 資産運用をしている
 
預金だけでなく、資産の一部をNISA、iDeCo、生命保険などで中・長期的に資産運用しています。リスクがあるものもありますが、中・長期的に大きく資産を増やすことも期待できます。
 
これらの「一定期間は引き出しにくい、出せない」仕組みが、結果的に「貯まりやすさ」にもつながっています。
 

自分に合った老後資金づくり

老後資金の準備は、早く始めるほど効果的です。まずは自分のライフプランを「見える化」して、将来必要になる金額と、いつまでにどのくらい準備するかを把握しましょう。自動天引きや資産運用を取り入れつつ、自分に合った方法で進めることが大切です。
 
自分で考えるのが難しければ、ファイナンシャルプランナーに相談してみるとよいでしょう。
 

終わりに

「老後に2000万円準備できていない」と不安になる気持ちは自然であり、データ上から見てもそれは決して少数派ではないことが分かります。他人と比べるのではなく「自分らしく生きる」ためにどのくらい準備すればよいのかを知るためにも、まずはライフプランの見える化を行い、自身に必要な老後資金を確認しましょう。
 
特に資産運用は時間を味方につけたがほうが有利になりますので、早めに動き出すことをおすすめします。
 

出典

厚生労働省 2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況 各種世帯の所得等の状況
金融広報中央員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)
金融庁 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」(令和元年6月3日)
 
執筆者:福本知輝
福本FP事務所 代表、広島県相続診断士 会長、寺院コンサルタント

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