残業が多くても現在の働き方に「満足している人」は多い？その背景には「収入の増加」があった!?

65％の方が、現在の働き方に満足している

パーソルキャリア株式会社「Job総研」の「2023年 働き方変化の実態調査」によれば、なんと回答者全体の過半数を占める65.0％の方が現在の働き方に満足しているようです。特に「とても満足」している方はおよそ10％を占め、少数ながらもほとんど不満がない方もいるようです。
 
そして、働き方の変化については、49.8％の方が「年収に増減があった」、24.6％の方が「残業量に変化があった」、20.1％の方が「出社状況の変化があった」と答えています。
 
では、このように多くの方が働き方に満足している背景には、どのようなものがあるのでしょうか。
 

残業が増えたり出社メインになったりしても、満足度が高い理由は？

近年ではSNSを中心に「残業は少ない方がよい」といった意見や「出社より在宅メインの方がよい」というように、お金よりも自由な働き方やプライベートを重んじる意見も少なくはありません。
 
しかし、意外にもこのアンケートでは、残業時間に変化があった方のうち62.0％が「残業時間が増えた」と回答していました。加えて、出社状況に変化があった方のうち、出社メインとなった方が7割近くを占めています。
 
ここだけ見れば待遇が悪化したように見えるかもしれません。しかし、前述のように働き方に満足している方は7割近くいます。
 
その点の矛盾は、おそらく賃金で補われていると考えられます。年収の増減において、「年収が増えた」と回答した方は全体の52.2％となっており、その平均増加額は、なんと約120万円です。中央値で見ても50万円と、大きく増加しています。
 
ここから、多くの方にとって多少残業が増えたり、出社メインとなったりするなどしても、賃金が相応に増加していれば、不満が解消されることが分かります。
 

残業が減ったり、在宅メインの仕事をしたりすることが、必ずしも満足度につながるとは限らない

先に見たように、残業が増えたり、出社メインの仕事になったりすることが、必ずしも働き方の不満となるわけではないようです。そのため、残業を理由とした転職や、在宅メインの仕事をしても、それだけで満足できるわけではないでしょう。
 
このアンケートの「（今後の働き方や仕事に対して）具体的に変えていきたいこと」という回答について、回答数が多い順に見ていくと「年収をもっと上げたい」という項目が68.8％、「スキルアップしたい」という項目が49.7％となっています。
 
3番目に「副業を始めたい」というものもありますが、おそらくその目的は年収やスキルアップが少なからず関係あると思われます。
 
特に、年収が50万～100万円ほど上がれば、毎月の生活も少なからず楽になるでしょう。逆に残業が減ったり、在宅メインの仕事になって収入が減ったりすると、それが不満の原因にもなるかもしれません。
 

まとめ

世間では意外にも、現状の働き方に満足している方は少なくないようです。その背景には平均120万円ほど、中央値で50万円ほどの年収増加があり、賃金が増加していない方が不満に思うのは無理もありません。
 
もし、現在の働き方に不満があり、働き方を変えようと思っているのであれば、転職や副業に当たっては収入の増加やスキルアップなどを踏まえて、広い視点から考えてみるようにしてください。
 

出典

パーソルキャリア株式会社 JobQ Town Job総研 2023年 働き方変化の実態調査
 
執筆者：柘植輝
行政書士