老後は退職金約1500万円と年金で細々と暮らしていこうと思っていたら、今度は「プラチナNISA」!? 投資をしないと老後資金は足りなくなるの?
配信日: 2025.05.29

また、プラチナNISAのメリット・デメリットについて確認しましょう。

CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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「プラチナNISA」って何?
まずは、「プラチナNISA」とは何かを確認しましょう。「プラチナNISA」は、2026年度の導入が検討されている65歳以上の高齢者向け非課税投資制度で、老後の生活資金を補う手段として注目されています。
2024年に新NISAがスタートしたばかりですが、それに続き「高齢者にも長期投資の機会を持ってもらう」「老後資金を“投資”で補えるようにする」といった目的で、専用のNISA制度を設ける方向で議論が進んでいます。プラチナNISAには、以下のような特徴があります。
・毎月分配型の投資信託が非課税対象となる
・運用益や分配金が非課税となる
・既存のNISA制度とは別枠での運用が可能になる見込み
なぜ今、高齢者にも“投資”が必要なのか?
では、なぜ65歳以上にも“投資”が必要なのでしょうか?
それは、日ごろの私たちの家計運営を振り返れば明らかです。かつては、年金と預貯金で老後を支えるのが一般的でしたが、今では以下のような理由で「投資の必要性」が高まっています。
・長寿化:人生100年時代、90歳を超えても生活費が必要
・年金だけでは不足:多くの世帯で毎月3~5万円の赤字が発生
・超低金利時代:銀行に預けてもほとんど増えない
・インフレリスク:物価が上がれば、預金の価値は実質目減り
つまり、老後世代でも、今保有している金融資産を「減らさない工夫」と「少しでも増やす仕組み」の両面から投資が重要になっています。
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プラチナNISAのメリット
プラチナNISAのメリットとしては、以下の4つが挙げられます。
(1)非課税で運用益を確保することができるため、通常、株式や投信の売却益や配当には20.315%が課税されますが、プラチナNISAを使えば、非課税となります。
(2)使いたいときに売却しやすいなど、年齢制限に配慮した設計です。
(3)年2~4%程度の利回りを狙える商品を非課税で保有可能なので、預金に代わる“利回り源”として活用できます。
(4)非課税枠で運用し、子ども世代へのスムーズな資産移転も視野に入れることが可能であるということで、相続対策にも有効です。
プラチナNISAの注意点
次に、注意点を確認しましょう。主な注意点は、以下の4つです。
(1)投資信託や株式は価格が変動するため、元本割れのリスクを意識しておく必要があります。
(2)「ハイリスク・ハイリターン」を狙うというよりは、残りの人生期間や資金の取り崩し計画に応じて「安定的な運用」を意識する必要があります。
(3)投資未経験の高齢者にとって、NISA口座の開設や商品選びなどの手続きや見直しなどは、ハードルが高いといえるかもしれません。
(4)通常の課税口座と非課税口座の混同リスクにも留意する必要があります。
まとめ
老後資金にも「投資的視点」が必要であることは、今や明らかです。だからといって、「とにかく投資」に急ぐ必要はありません。配分や投資手法を考えて、納得のいく方法で始めていくことが大切です。
その際には、日々の生活費 は 預貯金や個人年金で備え、余裕資金について安定運用型の投資を選択するなど慎重に確認しながら進めることが求められます。
例えば、月々の生活費は年金でまかないながら、100万円の余裕資金をプラチナNISAで年3%の複利で運用し、10年後に約135万円に増える可能性を見据えてみてはいかがでしょう。
プラチナNISAは、シニア世代が「守りながら、ゆるやかに増やす」ことを支援する制度になることを期待されて設計されていますが、投資を最終的に決定するのは自分自身です。目的とリスク許容度に合った、資産配分と管理が前提であることを忘れないようにすることが大切です。
出典
金融広報中央員会 知るぽると これであなたもひとり立ち ワーク12 人生にかかるお金、資産形成の視点
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者