50代前半で「NISA」を始めたい会社員。投資に“月5万円”回せるけど、「スタートが遅いしリスクがある」と言われます。資産運用より預金のほうがいいでしょうか?

配信日: 2025.05.15

この記事は約 4 分で読めます。
50代前半で「NISA」を始めたい会社員。投資に“月5万円”回せるけど、「スタートが遅いしリスクがある」と言われます。資産運用より預金のほうがいいでしょうか?
50代にさしかかると、子ども関連の支出が一段落し、ようやく自分たちの将来について考えられるようになってきたという人も多いのではないでしょうか。「NISA制度を使って資産運用を始めてみようか」と思い立つ人も少なくないでしょう。
 
しかし一方で、「今さら遅いのでは?」「リスクがあるからやめておいたほうがいい」といった周囲の声に、不安を感じている人もいるかもしれません。
 
実際、50代からの資産運用はやめたほうがいいのでしょうか。本記事では、月5万円ほど投資に回せる余裕があるという前提で、資産運用をすべきかどうかの判断基準を整理します。
浜崎遥翔

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

【PR】NTTデータグループ運営!HOME4U

【PR】NTTデータグループ運営!HOME4U

投資は「何歳で開始するか」ではなく「何年運用できるか」

投資は若いうちに始めたほうが有利というのは事実ですが、それは一般的に投資できる期間を長く確保できるためです。資産運用は短期間では元本割れの可能性があるなど収益が不安定となりますが、15~20年ほど続けることで安定性が増していきます。
 
1つ参考になるのが、金融庁が公表するシミュレーションです。
 
これによると、国内外の株式や債券に毎月同じ金額を積み立てた場合、保有期間が5年では年平均の収益率が-8%~+14%とブレが大きく元本割れする可能性がある一方、保有期間が20年では+2%~+8%と収益率が安定し、元本割れしないことが示されています(過去の実績をシミュレーションしたものなので、将来の収益率を保証するものではありません)。
 
つまり、50歳前半の人が、60代後半から70代の将来に向けて投資を開始するというのであれば、決して「遅すぎる」ということはありません。
 
例えば50歳の人が60歳までの10年間に月5万円ずつ積み立て(5万円×12ヶ月×10年=600万円)、さらにそのまま追加投資をせずに70歳まで運用を続けた場合、年平均3%の収益率と仮定すると、元本600万円は10年後の60歳時には約699万円、20年後の70歳時には約939万円になります。
 
短期間で一気に増やすことは難しくても、「老後資金をじっくり育てる」目的なら、50代からの投資も十分に意味があるといえるでしょう。また投資を行うなら、利益が非課税になるNISA制度を活用するのがよいでしょう。
 

定年後に必要な生活費に注意

とはいえ、手元にあるお金を全額NISAを使った資産運用に回せばよいかというと、そう単純にはいきません。前述したように、50歳前半から65歳や70歳まで約15~20年間運用を続けられる、いわゆる“使う予定のないお金”であれば投資にも適していますが、数年以内に取り崩す可能性がある資金は、元本割れのリスクを伴います。
 
特に注意したいのは、60歳で退職した場合です。年金が支給される65歳までの5年間は無収入となり、その期間の生活費が必要となります。この時期は退職金を取り崩しながら暮らす人も多く、仮に再雇用で60歳以降も働くとしても、収入は現役時代の5割程度に落ち込むケースも少なくありません。
 
例えば、夫婦2人で月28万円の生活費が必要だとすると、5年間で1680万円が必要です。さらに、医療費や住宅の修繕といった臨時の出費も考えると、もう少し余裕を見ておくのが現実的でしょう。
 
これを退職金や減少した給与収入でまかなわなければいけません。退職金と給与収入だけでは足りなさそうであれば、預金としてしっかり確保しておくべきです。この資金をNISAを使った投資に回してしまっていると、運用期間が短いために、いざ必要となって解約などを行った際に元本割れしてしまうリスクがあります。
 
最低でも15年、できれば20年間手をつけずに済みそうな余裕資金の目途がついたうえで、NISAを使った資産運用を検討するのが合理的だといえるでしょう。
 

【PR】SBI証券のNISA(ニーサ)

SBI証券のNISA(ニーサ)

おすすめポイント

【NISA】
・投資できる商品が多い
・NISA口座での国内株式 売買手数料0円
【つみたてNISA】
・幅広い投資信託ラインナップ
・100円から積立がスタートできる

50歳でもNISAは始められる! ただしリスクを考えることが大切

50代からNISAを活用した資産運用を始めるのは、決して遅すぎるということはありません。15~20年以上の運用期間が確保できるなら、NISAを使った積立投資は十分に現実的な選択肢になります。
 
ただし、手持ちの全ての資金を投資に回すのはおすすめできません。定年後、給与収入がなくなった後すぐに必要になる生活費や急な支出に備える資金は、元本割れのリスクがない預金でしっかり確保しておく必要があるからです。
 
そのうえで、当面使う予定のない余裕資金があれば、NISAを使って老後資金の一部をじっくり育てていくとよいでしょう。
 
そんなふうに「使う時期」でお金の置き場所を分けていくと、投資も預金もそれぞれの役割を果たしやすくなります。50代の資産づくりでは、お金の使い道に応じてどこに資金を置いておくかを見極めることが重要です。
 

出典

中央労働委員会 令和5年退職金、年金及び定年制事情調査 調査結果の概要
 
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

  • line
  • hatebu
【PR】
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集