株式の上場を目指すには、具体的にどのような条件を満たす必要があるの? 「プライム・スタンダード・グロース」それぞれの上場基準を解説

配信日: 2025.03.08

この記事は約 4 分で読めます。
株式の上場を目指すには、具体的にどのような条件を満たす必要があるの? 「プライム・スタンダード・グロース」それぞれの上場基準を解説
近年の東京証券取引所の市場再編により、従来の市場区分が「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」の3つに整理されました。この変更は、企業の成長段階や特性に応じた最適な資金調達の場を提供することを目的としています。各市場には明確な位置づけがあり、それぞれに異なる上場基準が設けられています。
 
各市場の詳細な上場基準について、流動性基準から財務基準まで、実務的な観点から解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

【PR】NTTデータグループ運営!HOME4U

【PR】NTTデータグループ運営!HOME4U

上場市場の基本的な違いと特徴

プライム市場は、グローバルな投資基準に適合する投資対象として、多くの機関投資家の期待に応えることが求められます。高い時価総額と流動性に加え、コーポレートガバナンス・コードのすべての原則を適用しなければなりません。
 
スタンダード市場は、公開市場として必要な基本的な機能を提供します。一般投資家による売買が円滑に行える程度の流動性があり、上場企業として必要な利益水準と財務基盤を備えている必要があります。
 
グロース市場は、高い成長可能性を重視する市場です。現時点での収益基準は設けていませんが、合理的な事業計画と成長戦略の開示が重要視され、主幹事証券会社による成長可能性に関する見解も求められます。
 

市場別の具体的な上場基準の詳細

表1は、3つの市場それぞれに関する、上場時に必要な具体的な基準です。重要な数値基準や維持すべき要件について、市場ごとの特徴を踏まえながら詳細を解説します。
 
表1

基準項目 プライム市場 スタンダード市場 グロース市場
純資産額 50億円以上 正の値 規定なし
収益基準 2年で25億円以上 1年で1億円以上 規定なし
時価総額要件 250億円以上 なし なし
流通株式時価総額 100億円以上 10億円以上 5億円以上
株主数 800人以上 400人以上 150人以上
流通株式比率 35%以上 25%以上 25%以上
売買代金 日平均0.2億円以上 月平均10単位以上 月平均10単位以上

出典:東京証券取引所「新市場区分の上場基準」より筆者作成
 

各市場の特徴的な要件

プライム市場では、上記の数値基準に加えて、ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みが重視されます。また、投資家との建設的な対話を継続的に行わなければなりません。
 
スタンダード市場は、一般的な上場企業として必要な基本的な要件を中心に構成されています。プライム市場ほどの厳格さはありませんが、安定した経営基盤を示す必要があります。
 
グロース市場の特徴は、財務基準よりも成長性を重視している点です。数値基準は比較的緩やかですが、以下の要件が重要視されます。
 

・事業計画の合理性
・高い成長可能性の証明
・事業計画と進捗状況の継続的な開示

 
以上の通り、各市場はそれぞれの特性に応じた独自の要件を設けています。上場基準のハードルが最も高いのはプライム市場で、次にスタンダード市場、グロース市場の順です。
 

【PR】NTTデータグループ運営!HOME4U

【PR】NTTデータグループ運営!HOME4U

上場維持基準と継続的な企業価値向上

上場後も各市場の維持基準を満たし続ける必要があります。特に重要な点は表2の通りです。
 
表2:各市場の主要な維持基準比較

市場区分 時価総額関連 ガバナンス関連 その他の要件
プライム市場 流通株式時価総額
100億円以上の維持
コーポレートガバナンス・コードの完全適用 投資家との継続的な対話
スタンダード市場 流通株式時価総額
10億円以上の維持
基本的なガバナンス水準の維持 月平均売買高10単位以上の維持
グロース市場 上場後10年経過時点で
時価総額40億円以上
成長戦略の進捗状況の継続的な開示 事業計画の達成状況の報告

出典:東京証券取引所「新市場区分の上場基準」より筆者作成
 

最適な市場選択の重要性

上場を目指す企業は、自社の現状分析と将来の成長戦略を踏まえて、最適な市場を選択することが重要です。プライム市場は国際的な投資基準に適合する高い要件を設定しているため、最も上場のハードルが高いです。
 
スタンダード市場は安定した経営基盤を重視し、グロース市場は将来の成長可能性に焦点を当てているなど、各市場によって上場基準に特徴があります。
 
また、上場後も継続的な基準の遵守と企業価値の向上が求められます。市場選択は、単なる上場時の基準達成だけでなく、その後の持続的な成長戦略も考慮に入れて判断する必要があります。
 

出典

東京証券取引所「新市場区分の上場基準」
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集