今年20歳になる大学生です。「国民年金」と「厚生年金」ってほぼ同義ですか?違いを簡単に教えてください!
配信日: 2025.05.07

今回は、国民年金と厚生年金の違いを、知らない方にも分かりやすいよう簡単に解説します。

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
国民年金と厚生年金の簡単な概要
まずは国民年金と厚生年金の概要を知るところから始めてみましょう。
国民年金とは、日本に住む20歳以上60歳未満の全ての人が加入する「基礎となる年金」です。主に自営業者や学生、フリーターの人などが加入しています。令和6年度の保険料は月額1万6980円で、収入に関わらず一定額です。
それに対して厚生年金は、主に会社員や公務員が国民年金に上乗せして加入する年金制度です。保険料は給与額に応じて決まり、雇用主と労働者が折半して負担します。例えば、日本年金機構によると、毎月の給料が24万円の場合、保険料は4万3920円となり、労働者の負担分は半額の2万1960円となります。
加入対象者と支払い方法の違い
続いて、加入対象者と支払い方法の違いについて、より詳しく見ていきましょう。
国民年金には、第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者の3種類があります。
第1号被保険者は、自営業者やフリーランス、学生など国民年金加入者の中心となる方々が該当します。20歳の大学生の場合、この国民年金の第1号被保険者に区分されます。
第2号被保険者は、会社員など厚生年金加入者が該当します。これらの方は、厚生年金の加入者であると同時に、国民年金の加入者にもなります。
第3号被保険者は、第2号被保険者に扶養されている配偶者が該当します。
国民年金の保険料は、日本年金機構より送付されてくる納付書で支払う他、口座振替やクレジットカードなどで支払う方法もあります。毎月支払うだけでなく、まとめて前払いすることも可能です。
一方、厚生年金には国民年金の被保険者のような区分はありません。また、保険料は、毎月の給与から自己負担分の保険料が天引きされ、それを雇用主が納める方法で支払います。
将来の受給額の違い
将来の受給額についても見ていきましょう。
国民年金の受給額は加入期間や保険料の納付済月数によって決まり、40年間保険料を支払い続けることで満額に達します。日本年金機構によると、令和6年4月分からの年金額は満額で81万6000円(月額6万8000円)となります。
また、一定以上の障害を負った場合は要件を満たすと障害基礎年金が支給されます。本人が亡くなった場合は、要件を満たせば遺族(子のある配偶者、もしくは子)に遺族基礎年金が支給されます。
対して厚生年金は、国民年金に上乗せして受け取れるため、受給額が大きくなります。例えば、平均的な収入の会社員が40年間加入した場合、夫婦2人分の老齢基礎年金を含めて年間約276万円(月額約23万円)以上受け取れることもあります。
また、障害を負った場合は要件を満たせば障害厚生年金が支給され、これは障害基礎年金より保障内容が手厚くなっています。本人が亡くなった場合は、要件を満たせば遺族に遺族厚生年金が支給されます。これは遺族基礎年金よりも対象となる遺族の範囲が広く、保障内容も手厚く充実しています。
まとめ
国民年金と厚生年金の違いは、主に加入者の範囲や保障の手厚さです。国民年金は全ての国民が対象ですが、厚生年金は会社員や公務員などが対象であり、国民年金に上乗せして受け取れるため、支給金額も多くなっています。
今回紹介した事項以外にも、国民年金と厚生年金の違いにはさまざまなものがあります。大学生とはいえ、20歳になれば国民年金に加入し保険料を支払う義務を負わなければなりません。これを機に、より年金への理解を深め、しっかりと将来に備えていきましょう。
出典
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和6年度版)
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
執筆者:柘植輝
行政書士