扶養内で「年収130万円」を超えないようにパート中! でも年収の壁が「103万→123万円」になるなら、年収150万円になっても「扶養内」でいられるのでしょうか? 改正内容を解説

配信日: 2025.03.06

この記事は約 3 分で読めます。
扶養内で「年収130万円」を超えないようにパート中! でも年収の壁が「103万→123万円」になるなら、年収150万円になっても「扶養内」でいられるのでしょうか? 改正内容を解説
2024年末に閣議決定された税制改正大綱に、年収103万円の壁を123万円に引き上げることが明記されました。つまり、年収103万円の壁を意識しながら働いている人が123万円まで働いても、現在と同じ扶養の恩恵を受けられるということです。
 
そこで見方を変えてみた人がいるようです。年収103万円から123万円ということで年収が20万円増えているので、年収130万円の壁を意識して働いている場合、年収150万円まで働いても扶養のままでいられるということなのでしょうか?
 
本記事で、年収の壁について整理しながら解説します。
佐々木咲

2級FP技能士

2025年から年収の壁が103万円から123万円にアップ!

まず税制改正大綱とは、毎年12月に閣議決定される税制改正のたたき台のことであり、税制改正大綱を元に翌年の法案が作成されます。
 
2024年末の税制改正大綱に年収の壁を123万円に引き上げる旨が記載されたのであれば、2025年に法改正が行われることがほぼ確定した状態といえるのです。
 
「年収103万円の壁」の103万円とは、給与所得控除の最低額である55万円と、基礎控除48万円の合計を指します。これが2025年からは給与所得控除65万円と、基礎控除が58万円となる予定なので、年収103万円に代わって123万円の壁が誕生するのです。
 
なお、給与所得控除と基礎控除が10万円ずつ引き上げられるということは、年収にかかわらず、全ての働く人の税金に影響することも知っておきましょう。
 

年収の壁について整理

本記事の質問では、複数ある年収の壁が混同されていると考えられることから、現在ある年収の壁の種類についても整理しておきましょう。年収の壁は主に次の5種類があります。

●年収100万円:住民税がかかり始める
●年収103万円:所得税がかかり始める、配偶者で配偶者控除を受けられる
●年収106万円:社会保険料がかかり始める(従業員数51人以上の会社で働いている人)
●年収130万円:社会保険料がかかり始める
●年収150万円:配偶者の配偶者特別控除が減額し始める(※)

※配偶者特別控除とは、配偶者の年収が103万円超201万円以下の人が受けられる控除のことで、年収150万円までは配偶者控除と同額ですが、超えると段階的に減額される仕組みとなっています。
 
図表1

図表1

練馬区 「年収の壁」について考えてみましょう
 

今の年収にプラス20万円という意味ではない

年収130万円の壁は社会保険料に関するものでした。これに対して、年収103万円が123万円に引き上げられるというのは税金に関するものです。両者は全く別の話である点に注意しましょう。
 
年収103万円の壁が123万円に代わるというだけであり、年収130万円の壁はそのままなので、年収150万円稼ぐと社会保険の扶養から外れて社会保険料がかかります。
 

まとめ

2025年より、年収103万円の壁が123万円になる可能性が高いです。年収123万円までは今の年収103万円と同じ扶養の恩恵を受けられるということです。年収の壁全てにおいてプラス20万円稼げるようになるという意味ではないので注意しましょう。年収130万円の壁は変わりません。年収150万円になると相応の社会保険料がかかります。
 
近年、年収の壁に対する改正は税金、社会保険ともに活発に行われています。改正の流れを把握し、そのときに応じた働き方を選択できるとよいですね。
 

出典

財務省 令和7年度税制改正の大綱
練馬区 「年収の壁」について考えてみましょう
 
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

  • line
  • hatebu
【PR】
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集